遥か遠い宇宙の彼方に「ボエテス座」という星座があります。その中に輝く星『アークトゥルス』は、夏の夜空で最も涼やかな黄金色の星です。
でも、この名前はギリシア語で「熊を追う者」と言います。そう、夏の間ずっと大熊座を追いかけて空を巡っているのです。だけど、「アークトゥルス」自身は、とても孤独でした。夜の静けさの中、ひとりで風の様に進み続けます。
そんな彼にある日、遠くの氷の世界『オルト・クラウド』から彗星が近づき、囁きました。
『あなたは走ってばかり。たまには立ち止まって、冷たい星屑の風に吹かれてごらんなさい。』…と。
その夜、「アークトゥルス」は少しだけゆっくりめに歩きました。すると、夏の夜空にひんやりとした風が吹いたのです。それを感じた地上の誰かがこう言いました。
『今日は少し、涼しいね。』
“あなたの空にも、アークトゥルスはきっと輝きます。熱中症に気を付けつつ、星風に包まれるひとときをお過ごしくださいね。”
(作:囁&和の星語)
「アークトゥルス」は夏の星空でもよく見える星で、7月の夜9時〜10時頃、南西〜西の空にひときわ明るく輝いている1等星🌟です。夏の初めの夜空をほんのり金色に染めるような、温もりと涼しさを併せ持つ不思議な星の「アークトゥルス」は「うしかい座(ボエテス)」にあります。「北斗七星(大熊座の一部)」の柄のカーブをそのまま南に延ばしていくと、最初にたどり着けるのがこの星です。
あなたはリアルな「アークトゥルス」に出会った事がありますか?