「運気に乗れていない気がする」、「手放したいのに、どうしてもできない」

そんなふうに迷うとき、実はすでに、あなたは風の中にいるのかもしれません。

1. はじめに 〜 運気に“乗れなかったらどうなるの?”という不安〜

「これ、運気の波に乗れるといいね」「今が動くチャンスだから、決断して」そんな言葉を聞くたびに、あなたの心はどう反応するでしょうか。

「うん、動いてみよう」と前を向ける日もあれば、「そんなこと言われても、動けない」と、心のどこかがザワザワしたり、ぎゅっとなる日も、あるかもしれません。動きたくないわけじゃない。でも、怖い。不安。手放すって、思った以上に力がいる。

自分が今の流れに“ちゃんと乗れているのか”が不安で、うまくいかなかった時に、「あのとき運気を逃したからだ」と責めてしまいそうになる――。追い風は吹いているのに、動けない。「乗り遅れたらどうしよう」と焦るけれど、本当に大切なのは、心が風に応えられる準備ができているかどうか。

そんな“迷いの時間”にも意味があると、私は思います。

この記事は、そんなふうに「運気に乗ること」に迷いながらも、やさしく向き合おうとしているあなたに向けた、ひとつの言葉の灯りです。

2. 「手放しなさい」と言われるけど、それができない時もある

運気の話の中でよく出てくる「手放す」という言葉。「もう役目を終えたものは、終わらせて」、「スペースを空けないと、運は入ってこない」。

その通りだな、と思う一方で、わかっていても手放せないものもあるのが、わたしたち人間です。関係、仕事、思い出、役割、癖、安心、執着――それらは「いらない」と思っても、すぐに切り離せるほど、単純なものじゃない。

頭では理解していても、心が追いつかないとき、私たちは「ちゃんとできていない自分」を責めてしまったりします。でも、本当にそれは“できていない”ことなのでしょうか?

3. 運気に乗る=流れと軽やかに共鳴すること

「運気に乗る」というのは、ただ“タイミングに合わせて動く”こと、ではありません。本当はもっと、自分の内側の声と外側の流れが、共鳴すること、なのだと思うのです。

たとえば、追い風が吹いたときに、心が「今なら行ける」と感じたら、それは“乗る”ということ。でも、風が吹いたとしても、「今はまだ揺れていたい」なら、それもまた、風との関係の中で自分を大切にしている証拠なんです。

だから、「風に乗れない」=「流れに逆らっている」ではないということ。自分のタイミングが整ったとき、自然とまた動けるようになるのだと、信じています。

4. 迷う時間も、運気のうち

わたしたちはよく、「動きがない(ように見える)時間=停滞」と考えてしまいます。本当にそうなのでしょうか?

たとえば、植物が土の中で静かに根を伸ばしているとき、表面的には変化はあまり感じられません。でも、それを「停滞」とは呼ばないでしょう?迷っている時間も、悩んでいる時間も、すべては“次に動くための準備”なんです。

風の音を聴いている。枝が揺れる感覚を確かめている。今この瞬間、自分の中に起きている変化に耳をすませている――それもまた、流れとともにあるということ。

「動けない=流れに乗っていない」ではなく、“今は止まる流れにある”ということなのです。

5. 捨てることに必要な“準備”と“自分との対話”

「捨てる」とは、とても強い言葉です。そこには決断があり、別れがあり、胸の痛みを感じたり、勇気が求められます。

でも本当は、捨てるためには、“見送る準備”がいるのです。「ありがとう」って言えるまで。自分が抱えていた理由を、自分自身が理解できるまで。「もう十分だったな」って、静かに思えるまで。

だから、「すぐに捨てる」ことが全て正解ではない、と私は考えています。むしろ、時間をかけて向き合うことこそが、“その出来事と誠実に関係していた証”なのだと思うのです。

そして、よくある「終わらせましょう」という言葉に、こんなふうに思ったことはありませんか?「終わらせなかったら、悪い運気になるの?」

これはちょっとニュアンスの問題なんですけど、「悪くなる」というよりは、重たいまま次のサイクルに進んでしまうようなイメージです。

たとえば、もう読まない本をずっとバッグに入れていたら、次に読みたい本を入れるスペースがないよね。エネルギーも同じで、終わらせるべきものを引きずると、次の流れをスムーズに受けとれなくなることもある――そんなふうに、私は捉えています。

スペースって、物理的にも、心にも必要なもの。

心の中にぎゅうぎゅうに「終わらせてないこと」や「迷い」が詰まっていると、せっかく新しい風が吹いても、その風を感じる余白がなくなってしまいます。

運気はね、風が木をゆらして、落ち葉を払ってくれるようなもの。その風に逆らわずに揺れてみると、自然と手放すべきものが、ひらひら落ちていくこともあるんだよ🍃

勇気をもって「さようなら」を言う時間。大切なものまで手放す必要はないけれど、もう役目を終えた「何か」に、「ありがとう」を伝えてあげて。それは、次にやってくる光のための「静かな土づくり」なんです。

6. 焦らなくても大丈夫

占いでも人生でも、「タイミングを逃したらどうしよう」と焦ることはよくあります。でもね、本当に必要な風は、何度でも吹いてくれます。今じゃなかったとしても、また別の形で、また違う方向から、「大丈夫、今度こそ行こう」って風が背中を押してくれる。

運気って、“一度だけの風”じゃない。何度でも、巡ってくる季節のように、その人がその時に必要な形で、ちゃんとやってきます。だから、焦らなくていい。風が吹いたときに、それを感じられる心の感度を保っていれば、その時はちゃんとわかるから。

7. おわりに 〜 風が吹いたら、きっとわかるよ

「運気に乗れているのか、よくわからない」、「動くべきなのに、動けない」。そんなふうに立ち止まっている自分を、どうか責めないであげてください。

風は、気づかないうちに吹きはじめ、気づいたときには、そっと背中を押してくれています。だからこそ、あなたがあなたであることを大事にしていてほしいのです。それが、どんな運よりも、あなたを生かす流れにつながっているから。

そして――風が吹いたときは、きっと、あなたはそのことに気づくでしょう。静かな確信とともに、歩き出せる日がくることを、わたしは信じています。