午後の光が、ゆっくりと傾きはじめたころ。
時計の針が、静かに15時6分を過ぎた瞬間、空の奥深くで新月が生まれる。
乙女座の新月——それは、ほんのりと秋の気配をまといながら、
私たちに静かな合図を送ってくる。
乙女座は、細やかさと秩序を愛する星座。
何かを計画し、形にしていくことを得意とする。
だからこそ、この新月は、これからの自分の暮らしや心を整えるための
「はじまりのページ」を開くのにふさわしい。
紙の上に鉛筆を走らせる音が、子どものころの夏休みの宿題を思い出させるように、
どこか懐かしい。
新月の夜には月は見えない。
けれど、その「見えない時間」にこそ、
静かに芽を出す種がある。
あの頃、ノートの隅にこっそり書いた夢や、小さな願い事。
もしかしたら忘れてしまったそれらが、今また形を変えて蘇るかもしれない。
乙女座の力は、ただ夢を見るだけでは終わらせない。
細部まで見渡し、日々の暮らしの中に落とし込み、少しずつ積み重ねていく。
新しい習慣を始めるのもいい。
机の引き出しを整理するのもいい。
心の棚卸しをして、大事なものだけを残すのもいい。
そうして、静かな秩序が生まれるとき、未来は思いがけず軽やかに動き出す。
今夜、窓を開けて空を仰ぐと、月はそこにいない。
でも、透明な闇の奥で、確かに新しい周期が息づいている。
風が頬を撫で、どこか遠くの虫の声が、過ぎ去った季節をそっと振り返らせる。
——さあ、心の中に白いページを広げよう。
今日立てた目標は、きっと未来のあなたをやさしく導く灯になる。