先日、あるクライアントさんとセッションをしていたときのこと。「いつも頑張っているのに、なぜか疲れやすくて…自分が弱いのかなって思ってしまうんです」と、少し申し訳なさそうに話してくれました。ホロスコープを見ると、火星が魚座の4ハウスに。ああ、と思いました。この配置を持つ方は、情熱がないわけじゃない。ただ、その情熱の動き方が、水のように形を変えながら流れていくんです。

火星というと、まっすぐ突き進む力強いイメージがあるかもしれません。でも、魚座の火星は違います。それはまるで、川の流れのように。相手の気持ちに寄り添いながら、柔軟に形を変えて動いていく。そして4ハウスという、家庭や心の基盤を表す場所にあるとき、その情熱は身近な人のために静かに燃え続けます。

境界線が曖昧だから、疲れてしまう

魚座は、境界線が曖昧な星座です。自分と相手の間に線を引くのが苦手で、相手の感情を自分のことのように感じ取ってしまう。だから、火星がここにあると、家族や職場の人のために一生懸命動いているうちに、気がつけば自分のエネルギーが空っぽになっていることがあります。

「あの人が困っているから」「この人が助けを求めているから」と、つい自分のことは後回しにしてしまう。4ハウスという私的な領域に火星があるからこそ、身近な人への献身が強く現れるんです。でも、それはあなたの弱さじゃありません。むしろ、共感力の高さという、かけがえのない強みなんです。

以前お会いしたクライアントさんは、職場でいつも調整役を買って出ていました。「誰かが困っていると放っておけなくて」と笑いながら話してくれたけれど、その表情には疲れが滲んでいました。自分の疲れに、自分自身が気づいていなかったんです。

仕事でのあなたの特徴と、キャリアの育て方

仕事の場面では、この配置はとても魅力的に輝きます。チームの中で、誰かが言葉にしない不安や緊張を敏感に感じ取って、そっとフォローできる。会議の空気が重くなったとき、自然と和らげることができる。そんな、目に見えない調整役として、周りから信頼されているはずです。

向いているのは、共感力を活かせる仕事です。カウンセリングや医療・福祉の分野、教育、クリエイティブな職種。データや論理だけではなく、「感じたこと」を大切にできる環境で、あなたは本来の力を発揮します。

ただ、キャリアを長く続けるためには、少しだけコツがあります。

まず、境界線を引くこと。「ここまでは自分、ここからは相手」という線を、意識的に引いてみてください。優しさは素晴らしいけれど、自分を守ることも同じくらい大切です。

次に、休息を戦略として取り入れること。疲れてから休むのではなく、疲れる前に定期的に休む。それは怠けることじゃなくて、長く走り続けるための知恵です。

そして、直感を信じること。魚座の火星は、論理よりも直感で動くとき、最も力を発揮します。「なんとなく、こっちがいい気がする」という感覚を、大切にしてあげてください。

あなたの優しさは、長く続けられてこそ価値があります。自分を大切にしながら、その温かさを世界に届けてほしいんです。

水のように、じんわりと

火星魚座4ハウスの情熱は、激しく燃え上がる炎ではありません。それは、お風呂のお湯のように、じんわりと温め続ける力です。派手ではないかもしれないけれど、確かに燃えている。そして、その温かさは、身近な人の心をそっと癒していきます。

自分のペースで大丈夫。水は、急がなくても、いつか海に辿り着きます。あなたの中にある優しい情熱を、どうか大切に育ててくださいね。

星は、あなたの可能性をずっと照らしています。