真夏の午後、窓辺に吊るしたサンキャッチャーが部屋いっぱいに獅子のたてがみのような光を撒き散らす。
金色の粒子が舞い立ち、子どもの頃、校庭の砂で王冠を作って遊んだ記憶まで照らし出す。
獅子座のクリエイティブさは、あの頃の無邪気な「やってみたい」の延長線にある。
手の中で温もりを失わないルビーの熱、
胸の奥に灯るペリドットの若草色、
カットを変えるたび新しい顔を見せるシトリンの笑み――
どれも太陽の言葉だ。
磨かれた面は自信の角度、
未研磨の面は可能性の余白。
大胆に削り、惜しみなく輝かせるその手つきで、今日も世界に少しだけドラマを足してゆく。
けれど、夕立のあと空気がひんやりすると、
光はすこし落ち着いて、
机の上に並んだ石たちは物語の続きを待ちはじめる。
季節がページをめくるように、
獅子の季節は乙女座へ橋を架ける。
舞台袖で衣装の糸を整えるように、
乙女は一粒ずつ光を選別し、余韻を編む。
ルーペ越しの静けさ、ノートの端に残る細かな計算、微妙な色差を見分ける澄んだ眼差し。
獅子が大胆に切り出した原石は、
乙女の手で日常に馴染むジュエリーへと仕立てられる。
眩しさが秩序を得て、物語は次の章へ。
夏の黄金が秋の透明へ移る瞬間、
私たちはまた胸元の石をそっと撫でて、
光の続編を信じたくなるのだ。