朝、キッチンの棚にズレたお皿を見つけただけで、なぜか胸の奥がザワついた。

子どもが時間になっても起きてこない――ただそれだけで、なぜかイラッとしてしまう自分がいる。

「きちんとしていない」が、どうしてこんなに自分を不快にさせるんだろう。

洗濯物の干し方がバラバラ。夫がテーブルの上にペンを出しっぱなしにしている。

そんな些細なことに、心の中がかき乱されていく。

本当は、怒っているんじゃなくて、「整っていない自分の内側」を映されているようで、直視したくないことを見せつけられているのかもしれない。

でも、ふとしたときに思う。

この「ちゃんとしなきゃ」は、本当に今の自分?

ある日、友人にぽろっと話した。「最近、些細なことでイライラしてばっかりでさ」と。

彼女は笑って、「わたしなんか、洗濯物3日も部屋に干しっぱなしだよ」と言ってくれた。

その瞬間、ふっと肩の力が抜けた。

完璧じゃなくてもいい。

正しさより、ゆるやかさを選んでみよう。

細かいことより、今日の青空のほうを見てみよう。

大丈夫。世界は思ったより優しい。

そう、いつのまにか不快さは、消えていた。