星を学び始めたころ、私は答えを求めていました。自分のホロスコープを見れば、自分がわかる。未来が見える。そんな期待を胸に、占星術の世界に足を踏み入れたんです。
でも、学びを深めるほど、不思議なことに気づきました。答えがわかるどころか、問いばかりが増えていく。「この解釈で合っているのだろうか」「もっと深い意味があるのではないか」。ホロスコープを眺めるたびに、新しい疑問が湧いてくる。
そして、ふと思ったんです。これは、私だけなのだろうか、と。
占星術を「当たる・当たらない」の枠で見ていたころは、シンプルでした。でも今は違う。星を読むことは、自分の内側と対話することになり、その対話には終わりがない。正解もない。ただ、手探りで歩き続けるしかない旅。
もしあなたが今、同じような感覚を抱いているなら。「これで合っているのか」という不安や、「わからない」まま歩き続ける孤独を感じているなら。この記事は、そんなあなたに向けて書いています。
私自身、占星術カウンセラーとして多くの方と星を読んできましたが、今もなお問い続けています。完璧な答えなんて、きっとないのだと思います。でも、この手探りの旅こそが、魂を磨く本当の道なのではないか。そう感じるようになりました。
この記事では、正解のない旅を歩む勇気について、星とともに深めてきた魂の問いかけについて、私自身の体験も交えながら一緒に考えていきたいと思います。あなたは決して一人ではありません。一緒に、この旅の意味を探っていきましょう。
占星術を学ぶほど深まる、答えのない問い
占星術を学び始めたばかりのころ、私は「知識を得れば答えが見つかる」と信じていました。太陽星座の意味を覚え、月星座の特徴を理解し、アスペクトの種類を学べば、ホロスコープは読み解けるようになる。そう思っていたんです。
でも実際は、まったく違いました。
知識が増えるほど、一つのチャートから見えてくる可能性も広がっていく。たとえば、太陽がいて座にあって、月がやぎ座にある私自身のチャート。最初は「自由を求める性質と、地に足をつけたい性質が混在している」とシンプルに捉えていました。でも学びを深めるうちに、この二つの星がどう対話しているのか、他の天体とのつながりの中でどんな物語を紡いでいるのか、そこに無数の解釈の層があることに気づいたんです。
そして、もっと大切なことに気づきました。ホロスコープは、答えを与えてくれるものではなく、問いを投げかけてくるものなのだと。
「あなたは何を大切にしたいの?」 「その葛藤の先に、何を見つけたいの?」 「今のあなたは、本当にあなたらしく生きている?」
星を読むことは、こうした問いと向き合うことでした。そして、この問いには、誰かが用意した正解なんてない。自分で感じて、考えて、時には迷いながら、少しずつ自分なりの答えを見つけていくしかないんです。
最初は、この「わからなさ」が不安でした。占星術を学んでいるのに、どんどんわからないことが増えていく。これは、自分の理解が浅いせいなのか。もっと勉強すれば、いつか明確な答えにたどり着けるのか。そんなふうに焦っていた時期もあります。
でも今は、この感覚こそが大切なのだと思えるようになりました。問いが増えるということは、星の声を聴こうとしている証拠。手探りで歩いているということは、自分自身と誠実に向き合っている証。
占星術は、魔法の杖ではありません。私たちに代わって人生を決めてくれるものでもない。ただ、私たちが自分自身に問いかけるための、優しい道しるべなんです。
「当たる・当たらない」を超えた先にある世界

占星術を「当たる占い」として見ていたころ、私はいつも不安でした。この解釈は当たっているのだろうか。クライアントさんに伝えたことが外れたらどうしよう。そんなふうに、常に正解を探していたんです。
でも、ある時ふと気づきました。私が本当に大切にしたいのは、「当てること」ではないのだと。
きっかけは、あるクライアントさんとのセッションでした。その方は、トランジットの土星が太陽に重なる時期を迎えていて、「これから試練の時期が来る」という一般的な解釈を伝えることもできました。でも、私はそうではなく、「今、あなたが本当に大切にしたいものは何ですか?」と問いかけたんです。
すると、その方は少し考えてから、静かに語り始めました。ずっと我慢してきたこと、本当はやりたかったこと、でも周りの期待に応えようとして諦めてきたこと。土星が太陽に重なるこの時期は、「試練」ではなく、「自分を取り戻すチャンス」だったんです。
その瞬間、私は確信しました。星は、未来を「予言」するものではなく、今のあなたに「問いかけて」くるものなのだと。
占星術を「当たる・当たらない」の枠で見ている間は、星は外側の出来事を告げる存在でした。でも、その枠を超えると、星はまったく違う姿を見せてくれる。それは、あなた自身の内側にある声を引き出してくれる、対話の相手になるんです。
私がいつも大切にしている言葉があります。「星は地図、内なる声は羅針盤」。
ホロスコープは、あなたの魂が選んだ地図です。そこには、あなたが生まれ持った特性や、人生で出会うテーマが描かれている。でも、その地図をどう読むか、どの道を選ぶかは、あなたの内なる声が教えてくれる。星が「こうなる」と決めているのではなく、星を見ながら「あなたはどう生きたいのか」と自分に問いかけていく。
この視点に立つと、占星術はまったく違う意味を持ち始めます。正しい解釈を探すのではなく、星を通して自分自身と対話する。その対話の中で、少しずつ自分の輪郭が見えてくる。
今、あなたが感じている「手探り感」は、まさにこの対話の入り口に立っている証拠かもしれません。答えを求めるのではなく、問いと向き合う。その姿勢こそが、占星術の本質に近づく道なんです。
星を読むことは、自分の内側を旅すること
ホロスコープを初めて見たとき、私は少し戸惑いました。円の中にたくさんの記号が並んでいて、それぞれが何かを意味している。太陽、月、水星、金星、火星…。こんなにたくさんの星が、私の中に同居しているのかと。
でも、占星術を学ぶうちに、この「たくさんの星」こそが、私たちの本質なのだと気づきました。
人は一面的な存在ではありません。明るい時もあれば、落ち込む時もある。冒険したい気持ちと、安定を求める気持ちが同時に存在する。誰かと深くつながりたい思いと、一人でいたい気持ちが共存している。こうした矛盾や多面性こそが、人間らしさなんです。
星を読むことは、この多面的な自分と向き合う旅です。
たとえば、私の場合。太陽はいて座にあって、自由を求め、広い世界を見たい気持ちがある。でも、月や水星、金星はやぎ座に集中していて、地に足をつけて、一歩ずつ積み重ねていきたい思いも強い。以前は、この二つの性質が矛盾していると感じて、どちらが「本当の私」なのか迷っていました。
でも今は違います。どちらも「本当の私」なんです。自由を求める私も、堅実に歩みたい私も、どちらも大切な私の一部。星を読むことで、この両方を受け入れられるようになりました。
多面的な自分を受け入れる旅
星の配置を見ていると、時には相反する性質が同時に存在していることに気づきます。たとえば、太陽と月が緊張関係にある配置だったり、火星と土星がぶつかり合うような位置にあったり。
占星術を「良い・悪い」で判断する視点だと、こうした配置は「困難」や「課題」として捉えられがちです。でも、私はそうは思いません。この内側の葛藤や矛盾こそが、あなたを深く、豊かにしているものだから。
完璧に調和した星の配置なんて、実はとても退屈かもしれない。矛盾があるから、私たちは悩み、考え、成長していく。葛藤があるから、自分と向き合い、深く掘り下げていける。星が教えてくれるのは、こうした不完全さも含めた、あなたという存在の全体性なんです。
ある晩、自分のホロスコープをじっくり眺めていた時のことです。やぎ座に集中した天体たちを見ながら、ふと思いました。私はずっと「真面目すぎる自分」を否定していたのかもしれない、と。もっと軽やかに、もっと自由に生きたいと願いながら、でも実際には計画を立て、地道に積み重ねることに安心を感じている自分がいる。
その時、気づいたんです。この「真面目さ」を否定するのではなく、受け入れてあげればいいのだと。いて座の太陽が描く大きな夢を、やぎ座の月が一歩ずつ形にしていく。この二つが協力し合えば、私はもっと自分らしく生きられる。
星を読むことは、こうして自分の内側にあるさまざまな声を聴いていく作業です。どの声も否定せず、どの声も大切にする。その全体を受け入れた時、私たちは本当の意味で「自分を生きる」ことができるのだと思います。
あなたの中にも、きっとたくさんの声があるはずです。時には矛盾し、時にはぶつかり合う声たち。でも、そのすべてがあなた。星を通して、その一つひとつと対話してみてください。その旅の先に、あなただけの答えが見えてくるはずです。
孤独な旅だからこそ、得られるもの
魂の問いと向き合う旅は、本質的に孤独なものです。
誰かに「正しい答え」を教えてもらうことはできない。どんなに優れた占星術師に相談しても、最終的に自分の人生を歩くのは自分自身。星を読み、自分と対話し、少しずつ進んでいく。その過程は、どこまでも個人的で、誰とも共有できない部分がある。
私も、この孤独を何度も感じてきました。
占星術を学び始めたころ、周りに同じように星を学んでいる仲間はいませんでした。夜、子どもを寝かしつけた後、一人でホロスコープを眺めながら、「私は今、何をしているんだろう」と思うこともありました。誰かに認めてもらえるわけでもない、誰かと競うわけでもない。ただ、自分の内側と向き合い続ける時間。
でも、今振り返ると、あの孤独な時間があったからこそ、今の私がいるのだと思います。
誰かの答えを借りるのではなく、自分で感じ、考え、気づいていく。その積み重ねの中で、少しずつ「自分を信じる力」が育っていったんです。最初は頼りなかった内なる声が、だんだんとはっきりと聞こえるようになってきた。星を読むたびに、「ああ、今の私にはこれが必要なんだ」と感じられるようになってきた。
孤独な旅だからこそ、得られるものがあります。それは、誰かの正解ではなく、あなただけの答え。外からもらった知識ではなく、内側から湧き上がってくる智慧。
「わからない」を抱えたまま歩く強さ

すぐに答えを求めたくなる気持ち、よくわかります。「これで合っているのか」「間違っていないか」と確認したくなる。特に、占星術のように奥深い世界に足を踏み入れると、その不安は大きくなる。
でも、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいんです。
「わからない」という状態を、無理に解消する必要があるのだろうか、と。
私は以前、「わからない」ことを恐れていました。占星術カウンセラーとして活動し始めたころ、クライアントさんから質問されて答えられないことがあると、自分が未熟だと感じて落ち込んでいました。もっと勉強しなければ、もっと知識を得なければ、と焦っていたんです。
でも、ある時気づきました。「わからない」を認めることこそが、誠実さなのだと。
すべてに答えを持っているふりをするより、「これは私にもわからない。でも、一緒に考えてみましょう」と正直に伝える方が、よほど大切なことだったんです。わからないことを抱えたまま、それでも歩き続ける。その姿勢こそが、本当の強さだと思えるようになりました。
星を読む旅も、同じです。すべてを理解する必要なんてない。すぐに答えを出す必要もない。わからないまま、手探りで歩いていく。その過程で感じること、考えること、気づくこと。そのすべてが、あなたの魂を磨いていく。
孤独を感じる時、不安になる時、それは決して「間違っている」サインではありません。むしろ、あなたが真剣に自分と向き合っている証拠。誰かの答えに頼らず、自分の感覚を信じようとしている証。
この孤独な旅を歩いているあなたは、すでに魂を磨く道の真ん中にいます。焦らなくて大丈夫。わからないことを恥じる必要もない。ただ、今のあなたのペースで、一歩ずつ歩いていけばいい。
星は逃げません。あなたのホロスコープは、いつでもそこにあって、あなたが準備できた時に、新しい気づきを与えてくれます。だから、安心して。この手探りの旅を、自分に許してあげてください。
星とともに歩む日常の実践|魂の声を聴く習慣

ここまで、占星術を通した魂の旅について、かなり哲学的なお話をしてきました。でも、この旅は、何か特別な瞬間だけのものではありません。日々の小さな選択の中で、星の声を聴き、自分と対話していく。その積み重ねこそが、本当の意味で「星とともに歩む」ことなんです。
私自身、占星術カウンセラーとして活動していますが、毎日が特別なセッションで埋まっているわけではありません。朝起きて、子どもの支度をして、仕事をして、夜には疲れて眠る。そんな普通の日常の中で、どうやって星とつながり、魂の声を聴き続けるか。それが、私の長年のテーマでした。
そして、いくつかの小さな習慣が、私を支えてくれていることに気づきました。特別な時間を確保しなくても、日常の中で星を感じられる方法。今日は、そのいくつかをご紹介したいと思います。
新月・満月を使った魂との対話
月のサイクルは、私たちの内側のリズムと深くつながっています。新月は「始まり」のエネルギー、満月は「完成と手放し」のエネルギー。この月の動きを、自分と対話するタイミングとして使うことができます。
私がやっている方法はとてもシンプルです。新月の日には、ノートを開いて「今、私が始めたいことは何だろう」と自分に問いかける。大きなことでなくてもいい。「もっと自分に優しくしたい」とか「朝、10分早く起きて静かな時間を持ちたい」とか、そんな小さな願いでいいんです。
そして、満月の日には「ここまでの半月で、何に気づいたか」を振り返る。うまくいったこと、うまくいかなかったこと。感じたこと、考えたこと。それを書き出してみる。
この習慣を始めてから、私は自分の変化に気づきやすくなりました。以前は、ただ日々が過ぎていく感覚があったけれど、今は月のサイクルという「区切り」があることで、自分の内側の動きが見えやすくなったんです。
新月と満月は、月に2回必ずやってきます。つまり、月に2回、自分と静かに向き合う時間を持てる。この小さな習慣が、魂の声を聴き続けるための、大切な支えになっています。
トランジットを日常の羅針盤にする
トランジット、つまり今日の星の動きを知ることも、日常に取り入れやすい実践です。
私は毎朝、その日の星の配置を簡単にチェックします。「今日は月がどの星座にいるか」「水星が逆行しているか」くらいで十分。それを知っているだけで、一日の過ごし方が少し変わってくるんです。
たとえば、月がやぎ座にある日は、計画を立てたり、地道な作業をするのに向いている。逆に、月がいて座にある日は、新しいことを学んだり、視野を広げることに意識を向けてみる。水星が逆行している時期は、コミュニケーションでの行き違いが起きやすいから、いつもより丁寧に確認する。
こうした小さな調整が、日々のストレスを減らしてくれることに気づきました。「なんだか今日はうまくいかないな」と感じた時も、「ああ、そういえば今は水星逆行中だった」と思えると、自分を責めずに済む。星の動きを知ることは、自分に優しくなるための知恵なんです。
ただ、ここで大切なのは、星の動きに「支配される」のではなく、星の動きを「参考にする」という姿勢です。「今日は月が〇〇座だから、こうしなければならない」ではなく、「今日は月が〇〇座か。じゃあ、こういう過ごし方もいいかもしれない」という軽やかさ。
星は、あなたに指図するものではありません。ただ、今日のあなたに「こんなテーマがあるよ」と教えてくれる、優しいガイドです。
毎日、ほんの数分。星の動きを確認して、「今日はどんなふうに過ごそうか」と自分に問いかけてみる。この小さな習慣が、星とともに歩む日常を作っていきます。
こうした実践は、どれも特別な道具も時間も必要ありません。必要なのは、ほんの少しの意識と、自分と対話しようとする気持ちだけ。星とともに歩むことは、遠い理想ではなく、今日から始められる現実です。完璧にやる必要はない。できる日もあれば、できない日もある。それでいいんです。大切なのは、「星を感じよう」「自分と対話しよう」という気持ちを持ち続けること。
あなたのペースで、あなたのやり方で。星とともに歩む日常を、少しずつ育てていってください。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
正解のない旅を歩む孤独や不安。「これで合っているのか」という迷い。占星術を深く学ぶほど感じる、この手探り感。もしあなたが今、そんな感覚を抱いているなら、どうか知ってほしいんです。
あなたは、すでに魂を磨く旅の真ん中にいます。
答えを求めるのではなく、問いと向き合っている。誰かの正解を借りるのではなく、自分の内側の声を聴こうとしている。その姿勢こそが、占星術の本質に近づく道なんです。手探りであることを、恥じる必要なんてありません。
私自身、占星術カウンセラーとして活動していますが、完璧な答えを持っているわけではありません。今もなお、星を見るたびに新しい問いが生まれ、クライアントさんとの対話の中で学び続けています。きっとこれからも、ずっと旅の途中なのだと思います。
でも、それでいいのだと思えるようになりました。
星は、私たちに完璧さを求めていません。ただ、自分自身と誠実に向き合うことを求めている。葛藤も、矛盾も、わからなさも、すべて受け入れながら歩いていく。その過程そのものが、魂を磨く旅なんです。
もしあなたが、今日から何か一つ始めるとしたら。まずは、自分のホロスコープを改めて眺めてみてください。そして、「私は今、何を感じているだろう」と問いかけてみてください。答えを探すのではなく、ただ問いかける。その対話が、あなたと星の新しい関係を作っていきます。
日記をつけるのもおすすめです。毎日でなくても、新月と満月の日だけでもいい。今の自分が感じていること、考えていることを、ただ書き出してみる。星の動きと、自分の内側の動きを重ねながら、少しずつ自分の輪郭が見えてくるはずです。
焦る必要はありません。あなたのペースで、あなたのタイミングで。星は逃げません。いつでも、あなたが準備できた時に、新しい扉を開いてくれます。
最後にもう一度、伝えたいことがあります。
あなたは一人ではありません。今、この記事を読んでくださっているあなたも、私も、そして世界中で星と向き合っている多くの人たちも、同じように手探りで歩いています。正解のない旅を、それぞれのペースで。でも、同じ空の下、同じ星を見上げながら。
この記事が、あなたの旅の小さな灯りになれたら嬉しいです。これからも、星とともに、あなた自身とともに、歩んでいってください。