「自分が何を感じているのか、わからないんです」

先日のセッションで、Mさん(仮名)がぽつりと漏らした言葉です。窓から差し込む午後の柔らかな光の中で、彼女の表情は穏やかでした。けれど、その目の奥には、言葉にならない何かが揺らめいていたように感じました。

「仕事は順調です。人間関係も悪くない。でも、なんだか満たされなくて……」

Mさんは静かに続けました。頭ではわかっているのに、心が動かない。何かが違う気がするのに、その正体がわからない。そんなもどかしさが、彼女の言葉の端々から伝わってきました。

本当の気持ちがわからない——そう感じる経験は、特別なことではないと思うんです。むしろ、多くの方が一度は感じたことがあるのではないでしょうか。

Yesと言ったのに、胸の奥で小さなNoが囁いている。なんとなくモヤモヤする。でも、何が原因かわからない。そんなとき、もしかしたら心の奥底で、無意識があなたに何かを伝えようとしているのかもしれません。

私がホロスコープを読むとき、いつも感じることがあります。それは、星の配置が映し出しているのは、意識の表層だけではないということ。深い海のような無意識の領域も、そこには静かに息づいているんです。

無意識は、言葉にならない感情や、自分でも気づいていない本音が眠っている場所。占星術は、その海を照らす月明かりのようなもの。水面の下に隠れていた景色を、そっと浮かび上がらせてくれるんです。

お風呂に浸かりながらふと気づいたことがあります。無意識って、急かされると逃げていくんですよね。でも、静かに待っていると、波紋のように広がって、心の表面まで上がってくる。そんな感覚を、何度も経験してきました。

この記事では、占星術を使って無意識にアクセスする方法をお伝えしていきます。ホロスコープのどこに注目すればいいのか、どうやって本当の気持ちを探ればいいのか。私自身が実践している読み方や、日常でできる内省の習慣も、できるだけ具体的にお話ししますね。

あなたの中の星たちが、どんなメッセージを届けてくれるか。一緒に、ゆっくりと探してみませんか。

「本当の気持ちがわからない」と感じるとき

Mさんのホロスコープを最初に見たとき、私の目が自然と引き寄せられたのは、月の位置でした。12ハウスの魚座。静かな湖の底に沈む月のような、そんなイメージが浮かんできたんです。

「いつ頃から、そう感じるようになったんですか?」

私が尋ねると、Mさんは少し考えてから答えてくれました。

「はっきりとは……。気づいたらずっと、こんな感じだったような気がします。周りに合わせるのは得意なんです。空気を読んで、期待に応えて。でも、ふと一人になったとき、『私は何がしたいんだろう』って思うんです」

頭ではわかっているのに、心が動かない。そんな経験、ありますよね。

やらなきゃいけないことはわかっている。でも、なぜか一歩が踏み出せない。理屈では納得しているはずなのに、胸のどこかで引っかかりを感じる。「これでいいのかな」という小さな疑問が、消えてくれない。

本当の気持ちがわからないとき、私たちの心の中では何が起きているんでしょう。

表面に浮かんでいる感情と、深いところにある本音がズレている。そんな状態なのかもしれません。意識では「大丈夫」と思っていても、無意識は別のメッセージを送り続けている。そのズレが、モヤモヤとした違和感として現れるんです。

Mさんの場合、太陽は天秤座でした。調和を大切にし、周囲のバランスを保とうとする。それは素晴らしい資質です。でも、月が12ハウスの魚座にあることで、本当の感情が心の奥深くに沈んでしまいやすい。自分でも気づかないうちに、感じていることを抑え込んでしまうんですね。

「周りに合わせすぎて、自分の気持ちがわからなくなることってありませんか?」

そう聞くと、Mさんは静かに頷きました。

無意識は、実はいつも私たちに語りかけているんです。ただ、その声があまりにも小さくて、日常の雑音にかき消されてしまう。でも、注意深く耳を澄ませば、いくつかのサインに気づくことができます。

たとえば、夢。

繰り返し見る夢には、無意識からのメッセージが込められていることがあります。追いかけられる夢、落ちる夢、迷子になる夢。それらは、心の奥で感じている不安や恐れを映し出しているのかもしれません。

身体の反応も、大切なサインです。

理由もなく肩が凝る。なんとなく息が浅い。特定の場面で胃が重くなる。身体は嘘をつきません。頭で「大丈夫」と思っていても、身体が緊張しているなら、それは心からのメッセージなんです。

何度も繰り返してしまうパターンも、無意識の声かもしれません。

恋愛で同じタイプの人を選んでしまう。職場で似たような問題に直面する。人間関係で同じ壁にぶつかる。それは偶然ではなく、無意識が「ここに向き合ってほしい」と伝えているサインなんですね。

ふとした瞬間に浮かぶイメージや感覚も、見逃さないでほしいんです。

窓の外を眺めているとき、何の脈絡もなく思い出す景色。音楽を聴いていて、突然胸がきゅっとなる瞬間。それらは、無意識からの小さな手紙のようなもの。受け取ってあげることで、本当の気持ちに少しずつ近づいていけるんです。

Mさんは、セッションの中でこんなことを話してくれました。

「最近、海の夢をよく見るんです。波の音だけが聞こえて、誰もいない砂浜を歩いている夢。目が覚めると、なんだか寂しいような、でも静かな気持ちになるんです」

12ハウスの月、そして魚座。海と深く結びついたこの配置が、夢を通じて何かを伝えようとしている。そう感じました。

本当の気持ちがわからない——それは、けっして悪いことじゃないんです。むしろ、無意識があなたに「立ち止まって、私の声を聴いて」と呼びかけている、大切なタイミングなのかもしれません。

星が映し出す「無意識の領域」とは

ホロスコープを広げるとき、私がいつも感じるのは、そこに描かれているのは単なる星の配置ではないということ。一人ひとりの命の物語が、静かに息づいている。そんな感覚があるんです。

太陽が教えてくれるのは、「私はこうありたい」という意識的な自己。でも、月が映し出すのは、「私が本当に求めているもの」という無意識の声。ホロスコープは、意識の表層だけでなく、深い海のような無意識の領域も、そっと照らし出してくれるんですね。

無意識——それは、自分でも気づいていない感情や欲求が眠っている場所。言葉にならない直感や、幼い頃から心に刻まれた感覚。夢の中で見る風景や、理由もなく惹かれるもの。そんな、掴みどころのない世界です。

占星術では、この無意識の領域を読み解くために、いくつかの天体やハウスに注目します。特に大切なのは、月、海王星、そして12ハウス。それぞれが、無意識の異なる側面を教えてくれるんです。


月が教えてくれる「感情の地図」

月は、心の湖のような存在です。

幼い頃から繰り返し感じてきた感情、安心を求める心の動き、無意識に反応してしまう感覚。そんな、理屈では説明できない心の癖を、月は静かに映し出します。

月星座を見ると、「どんなときに心が満たされるか」がわかります。

たとえば、牡羊座の月なら、新しいことに挑戦しているときに心が動く。蟹座の月なら、安心できる居場所で心が満たされる。魚座の月——Mさんと同じ配置を持つ方は、感受性を受け止めてくれる優しい環境で、心が癒されるんですね。

でも、月星座だけでは足りないんです。もう一つ大切なのが、月のハウス。

月がどのハウスにあるかで、「どこで心が動くか」「どんな場面で感情が揺れるか」が見えてきます。1ハウスにあれば、自分を表現する場面で心が動く。4ハウスにあれば、家庭や家族との時間で満たされる。

Mさんの月は、12ハウスにありました。

12ハウスは、心の奥の隠れ家のような場所。誰にも見せない秘密の部屋。無意識が静かに休んでいる領域です。ここに月があると、感情を内側に秘める傾向があるんですね。心の奥底で静かに波立つ感情を、自分でも気づかないうちに抑え込んでしまうこともあります。

「私、自分の気持ちを人に伝えるのが苦手で……。言葉にしようとすると、何を感じているのかわからなくなるんです」

Mさんがそう話してくれたとき、ああ、これが12ハウスの月なんだな、と感じました。感情が言葉になる前に、深い湖の底へ沈んでしまう。そんなイメージが浮かんできたんです。

月のアスペクト——他の天体との関係も、感情の流れ方を教えてくれます。

調和的なアスペクト(トライン、セクスタイル)があれば、感情がスムーズに流れやすい。緊張のアスペクト(スクエア、オポジション)があれば、感情の葛藤や揺れが大きくなることも。

Mさんの月は、海王星とトライン——調和的な関係を結んでいました。このつながりが、後でお話しする「直感」と「感情」の橋渡しをしていたんです。

海王星と12ハウス——霧の中の本音

海王星は、霧のベールのような天体です。

夢と現実の境界線。言葉にならない直感。曖昧で、掴みどころがなくて、でもだからこそ、論理では届かない本当の気持ちに触れられる。そんな不思議な力を持っているんですね。

「なんとなく」「ふと感じた」「説明できないけど」——そんな曖昧な感覚こそが、海王星からのメッセージかもしれません。

海王星は、理想や夢も司ります。「こうありたい」という憧れ、「こうであってほしい」という願い。現実とのギャップに苦しむこともあるけれど、その理想の中に、実は本当の気持ちが隠れていることもあるんです。

12ハウスも、海王星と深く結びついた領域。

ここは、意識の届かない場所。でも、だからこそ本当の気持ちが隠れているとも言えます。12ハウスに天体がある人は、無意識の世界と自然につながりやすい。直感が鋭かったり、夢からメッセージを受け取ったり、なんとなく感じることが当たったり。

ある方のセッションで、こんなことがありました。

12ハウスに海王星を持つその方は、大切な決断をするとき、いつも夢で答えを見つけていたんです。「夢の中で道が見える。その道を信じて進むと、うまくいく」と話してくれました。

それは偶然じゃなくて、無意識が夢を通じて語りかけているんですよね。12ハウスと海王星——この二つが重なると、無意識の扉が少し開きやすくなるんです。

Mさんの場合、月が12ハウスの魚座、そして海王星とトライン。

「海の夢をよく見る」と話してくれたのも、この配置が理由だったんですね。海は、無意識そのもの。波の音だけが聞こえる静かな砂浜は、12ハウスの静寂を表しているようでした。

「夢の中で何を感じましたか?」と尋ねると、Mさんは少し考えてから、こう答えてくれました。

「寂しいような……でも、静かで、落ち着く感じ。一人だけど、孤独じゃない。そんな感覚でした」

ああ、これがMさんの本音なんだ、と思いました。

一人の時間。静けさ。誰にも邪魔されない心の空間。それこそが、Mさんが本当に求めていたものだったんです。でも、意識の上では「周りに合わせなきゃ」「一人じゃダメだ」と思い込んでいた。そのズレが、満たされない感覚を生んでいたんですね。

無意識は、霧の中に隠れているけれど、消えてしまったわけじゃない。静かに待っていてくれる。そっと手を伸ばせば、触れることができる。星を読むことは、その霧の中へ、優しく光を灯す作業なのかもしれません。

私が実践している「無意識を読む」方法

ホロスコープを読むとき、私がまず最初にすることがあります。

それは、パッと見たときに浮かぶイメージを、そのまま受け取ること。色、音、風景——頭で考える前に、心が感じたものを大切にするんです。

Mさんのホロスコープを初めて見たとき、私の中に浮かんだのは「静かな湖」でした。

月明かりに照らされた、深い青色の湖。水面は穏やかだけど、その下には静かな流れがある。そんなイメージが、ふわっと広がってきたんですね。

それから、音楽が聴こえてきました。

頭の中で自然と流れてきたのは、ドビュッシーの「月の光」。静かで、優しくて、少し切ない。でも、とても美しい曲です。この日のセッションは、その音楽を小さく流しながら進めました。

これは、私が占星術を学ぶ中で、自分なりに見つけた方法なんです。

論理的な読み方ももちろん大切。天体の配置、アスペクト、ハウスの意味——それらを一つ一つ読み解いていくことで、多くのことがわかります。でも、それだけでは届かない領域もある。特に無意識を読むときは、直感を開くことが欠かせないと感じているんです。

お風呂に浸かりながら、その日見たホロスコープを思い浮かべることがあります。

温かいお湯の中で、力を抜いて、ただぼんやりと星の配置を思い描く。すると、ふと答えが降りてくることがあるんですね。「ああ、この人はこんな気持ちを抱えているのかもしれない」って。

それは論理じゃなくて、感覚。でも、その感覚が、後で読み解きを深めるときの大切な手がかりになるんです。

Mさんのホロスコープに戻りますね。

月が12ハウスの魚座にあり、海王星とトライン——調和的なつながりを持っている。この配置を論理的に読み解くと、「感受性が豊かで、直感と感情が調和している」となります。

でも、それだけじゃ伝わらない何かがある。

私が感じたのは、Mさんの感受性が、言葉にならないほど繊細で豊かだということ。水面の下の深いところで、静かに揺れ動いている感情。それを自分でも掴みきれていない、もどかしさ。

「Mさんの感受性は、とても豊かなんですね。でも、その豊かさゆえに、言葉にするのが難しいのかもしれません」

そう伝えると、Mさんは驚いたような顔をしました。

「そうなんです。感じることは、たくさんある。でも、それが何なのか、どう表現すればいいのか、いつもわからなくて……」

海王星と月のトライン。感情(月)と直感(海王星)が、優しくつながっている。この配置が教えてくれているのは、「曖昧な感覚こそが、あなたの本当の声なんだ」ということだったんです。

ホロスコープを「感じる」ということ

ホロスコープは、情報の集まりでもあるけれど、それだけじゃないと思うんです。

そこには、一人ひとりの命の物語が映し出されている。喜びも、悲しみも、迷いも、希望も。すべてが、星の配置の中に息づいているんですね。

だから、読み解くときは、ただ分析するだけじゃなくて、「感じる」ことも大切にしています。

この人はどんな気持ちで生きてきたんだろう。今、何に悩んでいるんだろう。心の奥で、何を求めているんだろう。そんなふうに、星の配置に心を寄せていくと、自然と見えてくるものがあるんです。

直感を開くために、私が日常的にしていることがあります。

一つは、水辺へ出かけること。

行き詰まったとき、答えが見つからないとき、私は川や湖、海へ行きます。水のせせらぎを聞いていると、心が澄んでいく感覚があるんですね。波の音、風の音、鳥の声。自然の中にいると、頭で考えるのをやめて、ただ感じることができる。

それから、静かな時間を持つこと。

朝のコーヒータイムに、窓辺で空を眺める。夜、部屋に飾ったモネの『睡蓮』をぼんやり眺める。そんな何もしない時間が、実はとても大切なんです。心に余白ができると、星の声が聴こえやすくなる気がします。

鑑定の直前には、深呼吸をして、心を整えます。

「この人の物語に、丁寧に寄り添おう」——そう意図を立てると、自然と心が開いていく。そうすると、ホロスコープから受け取るイメージが、より鮮明になるんですね。

完璧に読めるわけじゃないんです。直感が鈍る日もあるし、うまく伝えられない日もある。「ちゃんと届けられるかな」って不安になることも、正直あります。

でも、そんなときは思い出すようにしているんです。

私はただ、星の声を翻訳するだけ。完璧な答えを出すんじゃなくて、その人が自分で気づくための、小さなきっかけを渡すだけ。そう思うと、少し楽になるんですね。

月と海王星の対話を聴く

Mさんのホロスコープで、もう一つ大切だったのが、月と海王星のトライン——つまり、この二つの天体が調和的につながっているということでした。

月は感情。海王星は直感。この二つが優しく手を繋いでいる配置なんですね。

「Mさんは、『なんとなく感じること』を信じていいんです。その直感こそが、本当の気持ちへの道しるべなんですよ」

そう伝えたとき、Mさんの目に、少し光が灯ったように見えました。

「でも、私の感覚って、いつも曖昧で……。はっきりした理由がないから、信じていいのかわからなくて」

わかります、その気持ち。

海王星の導きは、いつも霧の中にある。「これだ!」ってはっきりしたものじゃなくて、「なんとなく」「ふと感じた」という、掴みどころのないもの。でも、だからこそ本物なんです。

論理で説明できることなら、頭で考えればわかる。でも、心の奥の本音は、論理を超えたところにある。言葉にならない感覚の中にこそ、真実が隠れているんですね。

「Mさんが海の夢を見たのも、偶然じゃないと思うんです。無意識が、夢を通じて語りかけていたんじゃないでしょうか」

Mさんは、少し考えてから、こう話してくれました。

「夢の中の海は、とても静かでした。波の音だけが聞こえて、誰もいない。最初は寂しい気がしたけど……でも、その静けさが、心地よかったんです」

そう、それがMさんの本音だったんですね。

一人の時間。静けさ。誰にも邪魔されない、心の空間。意識の上では「一人じゃダメだ」「もっと人と関わらなきゃ」と思っていた。でも、無意識は「静かな時間がほしい」と囁いていたんです。

セッションの終わりに、Mさんがこう言ってくれました。

「自分の感覚を、ずっと否定してきた気がします。『なんとなく』じゃダメだって。でも、その『なんとなく』こそが、私の本当の声だったんですね」

その言葉を聞いたとき、ああ、伝わったんだな、と思いました。

月と海王星の対話——感情と直感のハーモニー。それを聴くことができたとき、本当の気持ちが、少しずつ姿を現してくれる。そんな瞬間に立ち会えることが、星読みをしていて一番幸せな時間なんです。

あなた自身で本当の気持ちを探る方法

ここまで、無意識の領域や、私の読み方についてお話ししてきました。でも、一番大切なのは、あなた自身が自分の本当の気持ちに気づいていくこと。星読み師に頼らなくても、日常の中で無意識の声に耳を傾けることはできるんです。

今日からできることを、いくつかご紹介しますね。

まずは月星座と月のハウスを見てみる

自分の本当の気持ちを知る第一歩は、月星座と月のハウスを確認することです。

ホロスコープは、無料で作成できるサイトがいくつかあります。生年月日と出生時刻、出生地を入力すれば、すぐに自分の星の配置を見ることができますよ。

月星座を見ると、「心が何を求めているか」がわかります。

たとえば、牡羊座の月なら、新しいことへの挑戦で心が動く。何かを始めるとき、一歩踏み出すとき、そんな瞬間に生きている実感を持てるんですね。

蟹座の月なら、安心できる居場所で心が満たされる。家族や親しい人との時間、慣れ親しんだ空間。そこにいると、心がほっとする。

魚座の月——Mさんと同じ配置を持つ方は、感受性を受け止めてくれる優しい環境で癒される。芸術や音楽、自然の中で心が解放されるんです。

月のハウスは、「どこで心が満たされるか」を教えてくれます。

1ハウスにあれば、自分を表現する場面で心が動く。「これが私だ」と言えるとき、心が満たされるんですね。4ハウスにあれば、家庭や家族との時間。7ハウスにあれば、大切な人との関係性の中で。

12ハウス——Mさんの月があった場所は、一人の時間、静かな空間で心が休まる配置。人といるときも大切だけど、心の奥底では「静けさ」を求めているんです。

自分の月星座と月のハウスを知ると、「ああ、だから私はこんなとき心地よいんだ」「こういうときに満たされるんだ」という気づきが生まれます。

それは、自分を責めなくていい理由にもなるんですね。

「どうして私は人といるのに疲れるんだろう」じゃなくて、「私の月は一人の時間を求めているんだ」。そう思えると、自分への優しさが生まれるんです。


無意識の声に耳を傾ける日々の習慣

ホロスコープを見ることも大切だけど、日常の中で無意識の声に気づく習慣も、同じくらい大切です。

一つ目は、夢日記をつけること。

夢は、無意識が直接語りかけてくる場所。朝起きたら、覚えている限りの夢を、すぐにメモしておくんです。断片的でも大丈夫。「海にいた」「誰かと話していた」「追いかけられた」——そんな短いメモでも、後で見返すと、パターンが見えてくることがあります。

私も、気になる夢を見たときは、必ず書き留めています。何度も同じ場所が出てくる。同じ感情が湧いてくる。それは、無意識からの大切なメッセージなんですね。

二つ目は、身体の感覚を観察すること。

身体は、嘘をつきません。

頭で「大丈夫」と思っていても、肩が緊張していたら、それは心からのサイン。なんとなく息が浅いとき、胸のあたりが重いとき、理由もなく涙が出るとき。それらは、無意識が「ここに気づいて」と伝えている瞬間なんです。

一日の中で、ほんの少し立ち止まって、自分の身体に意識を向けてみる。「今、どこが緊張してる?」「どこが楽?」——そんなふうに、身体の声を聴く時間を持つと、心の状態が見えてきます。

三つ目は、満月と新月のリズムを記録すること。

月の満ち欠けは、私たちの感情にも影響を与えます。満月の夜は感情が高まりやすく、新月は内省に向く時。このリズムを意識してみると、自分の感情の波が見えてくるんですね。

満月の日に何を感じたか、新月の日にどんな気持ちだったか。簡単にメモしておくだけでも、後で読み返すと「ああ、この時期はいつも不安になるんだ」とか「新月の前後は、静かに過ごしたくなるんだ」という傾向が見えてきます。

そして、もう一つ。

私自身がいつもしていることなんですが、水辺で心を整える時間を持つこと。

川のせせらぎ、湖の静けさ、海の広がり——水は、心を澄ませてくれるんです。行き詰まったとき、答えが見つからないとき、ただ水辺に座って、流れを見つめる。それだけで、心の奥から何かが浮かび上がってくることがあります。

近くに水辺がなくても大丈夫。お風呂にゆっくり浸かる時間でも、同じ効果があるんですよ。温かいお湯の中で、力を抜いて、ただぼんやりする。そんな時間が、無意識との対話を助けてくれます。

これらの習慣は、どれも特別なことじゃありません。

日常の中で、ほんの少し立ち止まって、自分の内側に意識を向ける。それだけなんです。でも、その小さな習慣の積み重ねが、本当の気持ちへの道を照らしてくれる。

Mさんも、セッションの後、こんなふうに話してくれました。

「夢日記を始めました。最初は何も思い出せなかったけど、続けていくうちに、少しずつ覚えていられるようになって。この前、また海の夢を見たんです。でも今度は、波の音が心地よくて、目が覚めても穏やかな気持ちでした」

無意識は、急かさなければ、少しずつ姿を現してくれる。焦らず、優しく、自分のペースで。そんなふうに向き合っていくことが、一番大切なんですね。

本当の気持ちを知ることは、自分に優しくするための最初の一歩。急がなくていい、完璧じゃなくていい。星の地図を手に、ゆっくりと自分の内側を探してみませんか。

無意識と向き合うとき、大切にしたいこと

無意識を探る旅は、自分と向き合う大切な時間です。でも、それは一人で抱え込むものじゃないんですね。

私が心理カウンセラーの資格を取ったのも、占星術だけでは届かない領域があると感じたからでした。ユング心理学やトラウマ理論を学ぶ中で、改めて思ったことがあります。心の奥深くに触れるとき、優しさと慎重さが必要なんだって。

焦らず、自分を責めず

「本当の気持ちを知りたい」——そう思う気持ち、とてもよくわかります。

でも、本音がすぐに見つからなくても、大丈夫なんです。

無意識は、時間をかけて、ゆっくりと姿を現します。深い海の底に沈んでいるものが、水面まで浮かび上がってくるには、時間が必要。急かされると、かえって深く潜ってしまうこともあるんですね。

「わからない」——その状態も、一つの答えなんです。

今は、まだわからない。それでいい。無理に言葉にしようとしなくていい。ただ、その「わからなさ」を、そのまま受け止めてあげる。それだけで、心は少し楽になります。

私自身、自分の本当の気持ちがわからなくなることが、今でもあります。

クライアントさんの想いを深く感じすぎて、胸がいっぱいになる。「ちゃんと伝えられただろうか」って不安になる。直感が鈍って、「私、何も見えていないんじゃないか」って焦ることも。

そんなときは、自分に言い聞かせるんです。

「完璧じゃなくていい。私はただ、星の声を翻訳するだけ。寄り添うことを大切にしよう」って。

自分を責めないこと。それが、無意識と向き合う上で、何より大切なことだと思うんです。

自分の本当の気持ちを知ろうとする姿勢——それ自体が、すでに大きな一歩なんですから。焦らなくていい。ゆっくりでいい。優しく、静かに、自分のペースで歩いていけばいいんです。

星の声と心の声を重ねるとき

ホロスコープは、とても豊かな情報を与えてくれます。でも、それが全てではないんですね。

星の配置は、可能性や傾向を示してくれる。「こんな性質があるかもしれない」「こんな気持ちを抱えやすいかもしれない」——そんなヒントを、静かに教えてくれるんです。

でも、それを「答え」だと思わないでほしいんです。

ホロスコープは、対話のきっかけ。星の声を聴きながら、自分の心の声にも耳を傾ける。その両方を重ねたとき、本当の気持ちが見えてくるんですね。

占星術と心理学を統合することで、より深く自分と向き合えると、私は感じています。

星の配置が示す傾向と、心の中で実際に起きていること。その二つを丁寧に結びつけていく。そうすると、「ああ、だから私はこう感じていたんだ」という腑に落ちる瞬間が訪れます。

ただ、一つだけお伝えしたいことがあります。

もし、無意識を探っていく中で、深い傷や辛い記憶に触れたら——一人で抱え込まず、専門家の力を借りてくださいね。

トラウマや深い心の傷は、自分だけで向き合うには重すぎることもあります。心理カウンセラーやセラピストなど、心の専門家の助けを借りることは、弱さじゃないんです。むしろ、自分を大切にする勇気なんですね。

私自身、クライアントさんのセッションの中で、「この方には専門的なサポートが必要だ」と感じることがあります。そんなときは、正直にお伝えして、信頼できる専門家をご紹介することもあるんです。

星読みは、心に寄り添うことができる。でも、それだけでは足りない領域もある。それを知っているからこそ、私は心理学も学び続けているんです。

無意識と向き合うことは、自分を深く知る旅。

でも、その旅は、必ずしも一人で歩く必要はありません。誰かの手を借りてもいい。休みながら進んでもいい。時には立ち止まって、景色を眺めてもいい。

大切なのは、自分に優しくあること。

無理をしないこと。「こうあるべき」にとらわれないこと。自分のペースを大切にすること。そして、必要なときは助けを求めること。

それが、無意識と向き合うときに、一番大切にしてほしいことなんです。

星は、あなたの可能性を静かに照らしてくれています。でも、その光をどう受け取るかは、あなた自身が決めていい。急がなくていい。完璧じゃなくていい。

ただ、優しく、自分の心に寄り添ってあげてください。

まとめ

Mさんのその後のことを、少しお話しさせてください。

セッションから数週間後、Mさんからメールをいただきました。

「自分の本音に気づいてから、選択が楽になりました。『なんとなく心地いい』という感覚を大切にするようになったら、自然と心地よい方向へ進めるようになったんです」

そして、こう続いていました。

「週末は、一人で湖に行くようになりました。何もせず、ただ水面を眺めているだけ。でも、その時間がとても満たされるんです。今まで、一人でいることを悪いことだと思っていました。でも、これが私の心が本当に求めていたことだったんですね」

読みながら、胸が温かくなりました。

Mさんは、自分の無意識の声に気づき、それを受け入れ、そして行動に移した。その一連の流れが、とても自然で、美しいなと感じたんです。

無意識を知ることで得られるもの——それは、たくさんあります。

自分がどんな人間なのか、何を求めているのか。そんな自己理解が深まります。「こんな自分でいいんだ」という自己受容も生まれてくる。

本音を知ることで、本当に望む選択ができるようになります。「周りがこう言うから」じゃなくて、「私はこうしたい」という軸が生まれるんですね。

抑え込んでいた感情を認めることで、心が軽くなります。「感じちゃいけない」と蓋をしていたものを、「感じてもいいんだ」と許せるようになる。その瞬間、ふっと肩の力が抜けるんです。

本当の気持ちを知ることは、自分を大切にする第一歩。

私自身も、まだまだ自分の無意識と対話を続けている途中です。完璧に読めるわけじゃないし、いつも答えが見つかるわけでもない。でも、それでいいんだと思っています。

大切なのは、完璧であることじゃなくて、自分の心に優しく寄り添い続けること。時には立ち止まって、時には助けを借りて、ゆっくりと歩いていくこと。

星読みを通じて、一人ひとりが自分の内側の声に気づき、優しく生きられることを、私は心から願っています。

あなたの中の星たちは、今何を語りかけていますか?

静かな夜、心の湖に映る月を見つめるように、そっと耳を傾けてみてください。無意識は、いつもあなたに寄り添っています。波立つ水面の下には、本当の気持ちが静かに眠っているんです。

焦らなくていい。急がなくていい。

ただ、優しく、自分の心と対話する時間を持ってみてくださいね。その小さな一歩が、あなたの人生を、より自分らしいものへと導いてくれるはずです。

また次回、星の話をしましょうね。

優しい星の光が、あなたを照らしますように。