窓辺に座って、秋の風が木々の葉を揺らすのを眺めていました。季節の変わり目って、なぜか「手放す」ことを考えさせられる時期ですよね。

先週、あるクライアントさんがセッションの最後にこう言ったんです。「私、ずっと頑張ってきたことを手放すのが怖いんです。でも、もう疲れてしまって…」って。その言葉が、今もずっと心に残っています。

朝のコーヒーを飲みながら、彼女のホロスコープを思い返していました。そこには、手放すことへの恐れと、同時に受け入れるべき本質が、静かに輝いていたんです。

今日は、星が教えてくれる「手放すべきもの」と「受け入れるべき自分の本質」についてお話しさせてください。

土星が見せる「古い殻」

占星術で「手放す」ことを考えるとき、私がまず見るのは土星の位置です。

土星は、責任や義務、そして「こうあるべき」という古い枠組みを表します。もちろん、土星は私たちに忍耐や努力を教えてくれる大切な先生でもあります。でも、時には土星が作った「殻」が、本当の自分を閉じ込めてしまうこともあるんです。

例えば、土星が10ハウス(社会的な立場や仕事の領域)にあると、「社会的に成功しなければ」「ちゃんとした仕事に就かなければ」という強い思い込みを持ちやすいです。

以前、30代後半の女性とお話ししたときのことです。彼女は土星が10ハウスにあり、太陽は魚座でした。

「ずっと、親が望むような『立派な仕事』をしなきゃって思ってきました。でも本当は、もっと創造的なことがしたくて…」と、涙を浮かべながら話してくれました。

ホロスコープを一緒に見ながら、「あなたの土星は、『ちゃんとしなきゃ』という重い責任を背負わせてきたんですね。でも、魚座の太陽は『もっと自由に、感性のままに生きたい』って言っています」と伝えました。

彼女はしばらく黙って、それから静かにこう言ったんです。「手放してもいいんですね、その『ちゃんとしなきゃ』を」って。

そう、手放していいんです。土星が作った古い殻は、もう必要ないかもしれません。

12ハウスが教える「執着を手放す場所」

もうひとつ、「手放す」ことと深く関わっているのが12ハウスです。

12ハウスは、無意識の領域、隠されたもの、そして「手放すことで自由になる」場所を表します。ここに惑星があると、その惑星が表すテーマについて、知らず知らずのうちに執着していたり、逆に抑圧していたりすることがあります。

例えば、月が12ハウスにあると、自分の感情を無意識に抑え込んでしまう傾向があります。「こんなこと感じちゃいけない」「弱音を吐いちゃダメ」と、心の奥に感情を閉じ込めてしまうんです。

以前、こんなクライアントさんがいました。月が12ハウスにある40代の女性です。

「私、人前では平気な顔をしてるんですけど、家に帰ると急に涙が出てくるんです。でも、泣いちゃいけないって思って、我慢して…」と話してくれました。

「あなたの月は、12ハウスで『感情を感じてもいいよ』って待っているんです。涙が出るのは弱いからじゃなくて、ちゃんと感じているから。その感情を、もう抑え込まなくていいんですよ」と伝えると、彼女は静かに涙を流しました。

後日、「感情を感じることを許せるようになったら、すごく楽になりました」とメッセージをくださいました。

手放すべきなのは、「感情を感じちゃいけない」という思い込み。受け入れるべきなのは、「感情を感じてもいい自分」だったんです。

月と冥王星──本音と変容の力

手放すことと同時に、私たちは「受け入れるべき自分の本質」と向き合う必要があります。

そのとき、私がよく見るのが月と冥王星です。

月は、あなたの本音、素直な感情、心の奥底にある本当の気持ちを表します。一方、冥王星は、深い変容、生まれ変わる力、そして「本質的な自分」へと導く力を表します。

月が示す本音を受け入れることは、時に怖いことかもしれません。「こんな自分を認めたくない」「こんなこと望んじゃいけない」と思うかもしれません。

でも、その本音こそが、あなたの本質なんです。

例えば、月が牡羊座にあるのに、ずっと「おとなしくしなきゃ」と自分を抑えてきた人がいたとします。でも、本当は「自分の意見をはっきり言いたい」「自分らしく生きたい」という強い気持ちがある。その本音を受け入れたとき、人生が大きく動き始めるんです。

冥王星が太陽や月と強い角度を作っているとき、それは「変容の時」を示しています。古い自分を手放し、本質的な自分へと生まれ変わるタイミングです。

お風呂に浸かりながら、あるクライアントさんのホロスコープを思い出していました。彼女は冥王星が月とスクエア(90度)を作っていました。

セッション中、「最近、今までの自分じゃいられなくなってきて、怖いんです」と話してくれました。

「それは、あなたが本当の自分に近づいている証拠です。怖いのは当たり前。でも、その変化を受け入れることで、もっと自由になれるはずです」と伝えました。

数ヶ月後、彼女から連絡がありました。「仕事を変えました。怖かったけど、今はすごく楽しいです」って。

冥王星は、時に私たちを激しく揺さぶります。でも、それは「本当のあなたになりなさい」という、星からの優しいメッセージなのかもしれません。


手放すことは、自分を受け入れること

夜、窓から見える星空を眺めながら、今日お話ししたクライアントさんたちのことを思っていました。

そして、ふと気づいたんです。「手放す」ことと「受け入れる」ことは、実は同じことなのかもしれない、って。

古い思い込みを手放すとき、私たちは本当の自分を受け入れています。 「こうあるべき」を手放すとき、「こうありたい」を受け入れています。 誰かの期待を手放すとき、自分の本音を受け入れています。

もしあなたが今、何かを手放すべきか迷っているなら、こんなふうに自分に聞いてみてください。

まず、「私は何に縛られているんだろう?」と振り返ってみる。土星が作った古い枠組みが見えてくるかもしれません。

次に、「私は本当は何を感じているんだろう?」と心の奥に耳を傾けてみる。月が示す本音が聞こえてくるはずです。

そして、「私は本当はどうなりたいんだろう?」と自分に問いかけてみる。冥王星が示す変容の方向が見えてくると思います。

手放すことは、失うことじゃありません。本当の自分を取り戻すことです。

星たちは、いつもあなたに優しく語りかけています。「もう、古い殻を脱いでもいいよ」「本当のあなたで生きていいよ」って。

今夜、静かに自分の心に問いかけてみてください。「私が手放すべきものは何だろう?そして、私が受け入れるべき本質は何だろう?」って。

その答えは、すぐには見つからないかもしれません。でも、問いかけ続けることで、少しずつ見えてくるはずです。

あなたが本当の自分と出会えますように。