「黄道十二宮」は春分点からスタート
黄道は、「太陽の通り道」。太陽を中心に上下9度の幅をとった帯の領域を「黄道帯」と呼びます。
今、この黄道帯には13の星座がありますが、その中の「へびつかい座」を除いた12の星座を「黄道十二星座」と呼びます。黄道十二星座は、皆さんに馴染みのある12の星座です。(牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座、天秤座、蠍座、射手座、山羊座、水瓶座、魚座)そして、この黄道を30度ずつ12等分した領域を「黄道十二宮」と呼びます。西洋占星術では、この黄道十二宮は「春分点」を起点にしています。なぜ「春分点」からスタートするのか
では、なぜ「春分点」を起点にしているのでしょうか。
西洋占星術の元となったのは、メソポタミア文明の占星術でした。メソポタミア文明は、チグリス川・ユーフラテス川が合流するペルシャ湾の河口付近に広がる平野で花開きました。人々にとって大切なこれらの川は、春(3~4月)になると雪解け水で増水し、洪水を起こして、肥沃な土を運んできました。しかし、当時、主に栽培していた麦(大麦)の収穫は春(4月ごろ)に始まります。洪水に備えて作物を守るため、その時期を知ることは、人々にとって大変重要なこと。そのような経緯があったせいか、フンガ星(おひつじ座α星)が東の地平線に出る日と春分と定め、一年の始まりとする都市が多かったのです。西洋占星術は、この流れを受け継ぎ、ギリシア・ローマ時代に発展しました。つまり、超ザックリとまとめると、黄道十二宮・黄道十二星座の考えがまとまってきた時代に、新年の始まりとして重視されていた春分点が牡羊座にあったため、牡羊座から始まることになりました。(トロピカル方式)
ちなみに、古代エジプトでは、ナイル川が増水する夏、シリウス(おおいぬ座α星)が東の地平線に出る日を夏至、一年の始まりとしました。(サイデリアル方式)
余談 黄金の夜明け団のデカンは夏至が起点
現在、タロット占いの主流となっているアーサー・エドワード・ウェイトのタロットカード(ウエイト版/ライダー版/RWT)は、黄金の夜明け団の解釈等に基づいて、製作されました。
黄金の夜明け団では、タロットカードと占星術(デカン)を対応させていたため、ウエイトのタロットカードでも、その考えが用いられることがあります。黄金の夜明け団は、古代エジプトの宗教や魔術に着目していました。そのため、階級が上の方になると、古代エジプトで用いられていたサイデリアル方式について学び、獅子座を起点として、タロットカードと占星術を対応させました。ウエイトのタロットカードも、その流れを組んでいます。参照
書籍:西洋占星術 著・荒木俊馬 恒星社
書籍:占星術の起源 著・矢島文夫 ちくま学芸文庫Wikipedia:黄道十二星座、サイン_(占星術)#黄道十二宮、黄道帯、メソポタミア、バビロニア、ウェイト版タロット、黄金の夜明け団Web:メソポタミアは古代文明発祥の地!メソポタミア文明の5つの特徴と歴史 | トルコ旅行・トルコツアー おすすめプラン満載の【ターキッシュエア&トラベル】Web:肥沃な三日月地帯 - 世界史の窓 世界史用語解説 授業と学習のヒントWeb:メソポタミア文明:ウルクの大杯に学ぶ①(農耕・栽培)- 歴史の世界を綴るWeb:黄金の夜明け団の小アルカナと占星術の対応 - TAZNのニュースレター