占星術のディグニティという言葉を聞いたことはありますか?ディグニティとは「品位」を意味し、天体がどのサインにいるかによって、星の力の出しやすさや質が変わることを示します。人にリラックスできる場所とそうでない場所があるように、星にも「居心地の良い場所」があるんですね。
【基本解説】占星術のディグニティってどういう意味?
ディグニティは占星術を深く読み解くための大切な視点です。天体がどのサインに位置するかで、その星が持つエネルギーの質や発揮しやすさが変わります。まるで、得意な場所では自然体でいられるけれど、苦手な場所では少し緊張してしまう、そんな人間の感覚と似ているかもしれませんね。
ディグニティとは「星の居心地の良さ」を表す占星術の概念
ディグニティとは、天体が特定のサインにいるときの「居心地の良さ」や「力の発揮しやすさ」を表す概念です。たとえば太陽が獅子座にあるとき、太陽は自分の家にいるような安心感の中で、本来の輝きを存分に発揮できます。逆に、太陽が水瓶座にあるときは、少し窮屈さを感じながらも、工夫して力を出そうとするんですね。
人間にも「ここにいると自分らしくいられる」と感じる場所と、「ちょっと緊張するな」と感じる場所があるように、星にも得意な場所と苦手な場所があります。ディグニティは、その天体がどれだけ自然に力を発揮できる状態にあるかを教えてくれる指標なんです。
ホロスコープを読むとき、天体の配置だけでなく「その星がどんな状態で力を出しているのか」を知ることで、より深い理解につながります。
占星術でディグニティを知ると、天体の本質が見えてくる
ディグニティを知ると、ホロスコープの読み解きがぐっと深まります。たとえば同じ月を持つ人でも、月が蟹座にある人と、月が山羊座にある人では、感情の表れ方や心の落ち着かせ方に違いが出てくるんですね。
私の鑑定でも、クライアントのホロスコープを見るとき、まず天体がどのサインにあるかを確認した後、そのディグニティを確認します。すると「この人は感情を自然に表現できるタイプだな」とか「この人は感情を内に秘めて工夫しながら向き合うタイプだな」といったことが見えてきます。
ディグニティは、星が教えてくれる「その人らしい生き方のヒント」のひとつ。占星術はジャッジのためのものではなく、人生を照らすサポートの光だと私は考えています。ディグニティを知ることで、その光がより明るく、温かく感じられるようになるでしょう。
占星術のディグニティには大きく2つの種類がある
占星術のディグニティには、大きく分けて2つの種類があります。ひとつは「エッセンシャルディグニティ(本質的品位)」、もうひとつは「アクシデンタルディグニティ(偶発的品位)」です。
エッセンシャルディグニティは、天体がどのサインにいるかで決まる、生まれつきの性質を表します。太陽が獅子座にある、月が蟹座にある、といった配置から読み取る品位ですね。一方、アクシデンタルディグニティは、天体がどのハウスにいるか、どんなアスペクトを持つかによって決まる、状況的な力を表します。
まずはエッセンシャルディグニティから理解していくと、ホロスコープの読み解きがスムーズになります。アクシデンタルディグニティについては、後ほど詳しく触れますね。
占星術の5つのディグニティ|天体の品位を決める基準
エッセンシャルディグニティには、5つの種類があります。ルーラーシップ、エグザルテーション、デトリメント、フォール、そしてペレグリン。それぞれが天体の力の発揮しやすさを示していて、ホロスコープを読むときの大切な手がかりになります。ひとつずつ見ていきましょう。
ルーラーシップ(支配星)|占星術で最も強いディグニティ
ルーラーシップとは、天体が「自分の家」にいる状態を指します。占星術では、各サインにはそれを支配する天体が決まっていて、天体が自分の支配するサインにいるとき、最も力を発揮しやすいとされています。
たとえば太陽は獅子座を支配していますから、太陽が獅子座にあるとき、太陽は自分の家でくつろいでいるような状態。本来の輝きや自己表現の力が自然に、そして存分に発揮されます。月は蟹座を支配しているので、月が蟹座にある人は、感情を素直に表現でき、自分の心に正直に生きられる傾向があるんですね。
ルーラーシップにある天体は、その人の自然な強みや才能を示してくれます。無理をしなくても発揮できる力なので、自分でも気づかないうちに周りから「すごいね」と言われることが多いかもしれません。
エグザルテーション(高揚)|天体が輝きを増す占星術の品位
エグザルテーションとは、天体が「ゲストとして歓迎される場所」にいる状態を指します。支配ほどではありませんが、その天体が特別な輝きを放つサインがあるんですね。
たとえば太陽は牡羊座で高揚します。牡羊座の持つ行動力や勇気が、太陽の輝きをより際立たせるんです。月は牡牛座で高揚し、安定した環境の中で心が落ち着き、穏やかな感情を育めます。
エグザルテーションにある天体は、その人が意識的に磨いていくことで、大きな力を発揮できる可能性を秘めています。私の鑑定では、高揚の位置にある天体を見つけたとき、「ここを育てていくと、人生がより豊かになりますよ」とお伝えすることが多いですね。
支配が「自然体でいられる場所」だとすれば、高揚は「背筋がピンと伸びて、ベストな自分でいられる場所」という感じでしょうか。
デトリメント(障害)とフォール(下降)|占星術で力が弱まるディグニティ
デトリメントとフォールは、天体の力が発揮しにくい状態を表します。デトリメントは支配の反対サインにあたり、フォールは高揚の反対サインにあたります。
たとえば太陽のデトリメントは水瓶座、フォールは天秤座です。太陽がこれらのサインにあるとき、自己表現に少し戸惑いや葛藤が生まれることがあります。でも、ここで大切なのは、「悪い」わけではないということ。
居心地が悪い場所だからこそ、工夫が生まれます。自分なりのやり方を模索し、成長していく力が育まれるんですね。私のクライアントで、太陽が天秤座にある方がいらっしゃいましたが、「自分を出すのが苦手だった分、相手の気持ちを汲み取る力がついた」とおっしゃっていました。
デトリメントやフォールにある天体は、その人が人生の中で向き合うテーマを教えてくれます。どんな配置も、あなたの可能性を示してくれているんです。
占星術のディグニティ一覧表|天体ごとの品位を確認しよう

ディグニティを実践的に活用するために、各天体のディグニティを一覧で確認してみましょう。太陽から土星まで、7つの古典的な天体のディグニティをまとめました。自分のホロスコープと照らし合わせながら見ていくと、理解が深まりますよ。
太陽・月・水星のディグニティ|占星術の個人天体の品位
太陽は獅子座を支配し、牡羊座で高揚します。水瓶座がデトリメント、天秤座がフォールです。太陽は自己表現や生きる目的を表す天体ですから、獅子座や牡羊座にある太陽は、自分らしさを堂々と発揮できるでしょう。
月は蟹座を支配し、牡牛座で高揚します。山羊座がデトリメント、蠍座がフォールです。月は感情や心の安定を表す天体なので、蟹座や牡牛座にある月は、素直に感情を感じ、心を落ち着かせることができます。
水星は双子座と乙女座を支配し、乙女座(一説には水瓶座)で高揚します。射手座がデトリメント、魚座がフォールです。水星はコミュニケーションや思考を表す天体ですから、双子座や乙女座にある水星は、言葉を使う力や情報処理能力に長けています。
これら3つの天体は「個人天体」と呼ばれ、日常の感覚や性格に直接影響します。自分のホロスコープでチェックしてみてくださいね。
金星・火星のディグニティ|占星術で関係性を読む天体の品位
金星は牡牛座と天秤座を支配し、魚座で高揚します。牡羊座と蠍座がデトリメント、乙女座がフォールです。金星は愛情や美意識、人間関係を表す天体。牡牛座や天秤座、魚座にある金星は、人との関わりの中で自然に愛情を表現し、調和を大切にできます。
火星は牡羊座と蠍座を支配し、山羊座で高揚します。天秤座と牡牛座がデトリメント、蟹座がフォールです。火星は行動力や情熱を表す天体なので、牡羊座や蠍座、山羊座にある火星は、目標に向かって力強く進んでいけるでしょう。
私の鑑定では、金星と火星のディグニティを見ることで、その人の恋愛スタイルや人間関係の築き方が見えてきます。たとえば金星が牡牛座にある方は、じっくり時間をかけて信頼関係を育てるタイプが多いですね。
木星・土星のディグニティ|占星術で人生の質を見る社会天体の品位
木星は射手座と魚座を支配し、蟹座で高揚します。双子座と乙女座がデトリメント、山羊座がフォールです。木星は拡大や成長、幸運を表す天体。射手座や魚座、蟹座にある木星は、人生を豊かに広げていく力に恵まれています。
土星は山羊座と水瓶座を支配し、天秤座で高揚します。蟹座と獅子座がデトリメント、牡羊座がフォールです。土星は制限や責任、成熟を表す天体なので、山羊座や水瓶座、天秤座にある土星は、困難な状況でも粘り強く取り組む力があります。
木星と土星は「社会天体」と呼ばれ、人生の大きな流れや社会との関わり方に影響します。木星がデトリメントやフォールにあるからといって不幸というわけではなく、「拡大しすぎないよう慎重に進む」という学びがあると捉えられますね。
ホロスコープでディグニティを読む|占星術の品位を鑑定に活かす方法

ディグニティの知識を実際のホロスコープ鑑定に活かす方法を見ていきましょう。自分のホロスコープで確認する手順から、ディグニティの強い天体・弱い天体をどう読み解くかまで、実践的な視点でお伝えします。
あなたのホロスコープでディグニティを確認する占星術の手順
まずは、自分のホロスコープを用意しましょう。無料でホロスコープを作成できるサイトはたくさんあります。生年月日、出生時刻、出生地を入力すれば、あなたのホロスコープが表示されます。
ホロスコープができたら、各天体がどのサインにあるかを確認します。たとえば「太陽が牡羊座」「月が蟹座」「金星が牡牛座」といった具合ですね。次に、先ほど見たディグニティ一覧表と照らし合わせて、それぞれの天体がルーラーシップ、エグザルテーション、デトリメント、フォールのどれに当たるかをチェックします。
すべての天体がディグニティの強い位置にある人は少ないですし、逆にすべてが弱い位置にある人もほとんどいません。強い天体と弱い天体が混ざり合っているのが普通です。大切なのは、その組み合わせから「自分らしい生き方のヒント」を見つけることなんですね。
ディグニティの強い天体から読む|占星術で才能を見つけるヒント
ルーラーシップやエグザルテーションにある天体は、その人の自然な強みや才能を示しています。無理をしなくても発揮できる力なので、自分では当たり前すぎて気づかないこともあります。
私のクライアントで、月が蟹座にある女性がいらっしゃいました。彼女は「人の気持ちに寄り添うのは普通のことだと思っていた」とおっしゃっていましたが、周りからは「あなたといると安心する」と言われることが多かったそうです。月が蟹座にあることで、感情を自然に受け止め、共感する力が備わっていたんですね。
ディグニティの強い天体は、あなたがすでに持っている宝物です。意識して磨いていくことで、さらに輝きを増すでしょう。自分のホロスコープで、どの天体がディグニティの強い位置にあるか、ぜひ確認してみてください。
ディグニティの弱い天体も味方に|占星術で成長のテーマを知る
デトリメントやフォールにある天体は、一見すると「弱い」と感じるかもしれません。でも、私は「課題」ではなく「成長のテーマ」として捉えています。居心地が悪い場所だからこそ、工夫が生まれ、深い学びが得られるんですね。
あるクライアントは、太陽が天秤座にありました。天秤座は太陽のフォールにあたるため、「自分を出すのが苦手で、いつも周りに合わせてしまう」と悩んでいらっしゃいました。でもセッションを重ねる中で、「相手の気持ちを汲み取る力が、自分の強みになっている」と気づかれたんです。
ディグニティの弱い天体は、あなたが人生の中で向き合い、成長していくテーマを教えてくれます。どんな配置も、必ずあなたの可能性を示してくれています。弱い天体を敵視するのではなく、「どう味方につけるか」という視点で見ていくと、人生がより豊かになるでしょう。
エッセンシャルとアクシデンタル|占星術の2種類のディグニティの違い

ディグニティにはエッセンシャルディグニティとアクシデンタルディグニティの2種類があります。ここまで主に扱ってきたエッセンシャルディグニティと、もうひとつのアクシデンタルディグニティの違いを理解することで、より立体的に天体の状態を読み解けるようになります。
エッセンシャルディグニティとは?|占星術のサインで決まる天体の品位
エッセンシャルディグニティは、天体がどのサインにいるかで決まる、生まれつきの性質を表します。太陽が獅子座にある、月が蟹座にある、といった配置から読み取る品位ですね。
エッセンシャルディグニティは、その人の基本的な性質や才能、成長のテーマを示してくれます。生まれたときから持っている「素質」のようなものと言えるでしょう。ルーラーシップ、エグザルテーション、デトリメント、フォール、ペレグリンの5つの段階があり、天体がどのサインにあるかで決まります。
ホロスコープを読むとき、まずエッセンシャルディグニティを確認することで、その人の「生まれ持った力の発揮しやすさ」が見えてきます。
アクシデンタルディグニティとは?|占星術のハウスで変わる天体の力
アクシデンタルディグニティは、天体がどのハウスにいるか、どんなアスペクトを持つかで決まる、状況的な力を表します。「偶発的品位」とも呼ばれ、生まれつきの性質ではなく、その天体が実際にどれだけ力を発揮できる環境にあるかを示します。
たとえば、太陽が10ハウス(社会的な活動の場)にあれば、太陽の力が社会で発揮されやすくなります。逆に、太陽が12ハウス(隠れた領域)にあれば、表立った活動よりも内面的な成長に力が向かいやすいでしょう。
また、天体が他の天体と良いアスペクト(角度の関係)を持っていれば、その天体の力がサポートされます。アクシデンタルディグニティは、エッセンシャルディグニティと組み合わせて読むことで、より総合的に天体の状態を理解できるんですね。
占星術のディグニティは組み合わせで読む|星の総合力を見る視点
エッセンシャルディグニティとアクシデンタルディグニティ、両方を見ることで、天体の「総合力」が見えてきます。たとえば、太陽が獅子座にあり(エッセンシャルディグニティが強い)、さらに10ハウスにある(アクシデンタルディグニティも強い)場合、その人は社会で自分らしさを存分に発揮できるでしょう。
逆に、太陽が水瓶座にあり(エッセンシャルディグニティが弱い)、12ハウスにある(アクシデンタルディグニティも弱い)場合でも、それは「表に出ないところで力を発揮する」「内面の成長を大切にする」といった生き方を示しているのかもしれません。
私の鑑定では、ディグニティだけでなく、クライアントとの対話を通して総合的に見ていきます。星は支援のための視点のひとつ。数字や配置だけで判断するのではなく、その人の人生の物語の中で、星がどんなメッセージを伝えてくれているのかを大切にしています。
おわりに
占星術のディグニティは、天体の「居心地の良さ」や「力の発揮しやすさ」を教えてくれる大切な視点です。ルーラーシップやエグザルテーションにある天体は自然な強みとして、デトリメントやフォールにある天体は成長のテーマとして、どちらもあなたの可能性を示してくれています。
ディグニティを知ることで、ホロスコープの読み解きがぐっと深まり、自分自身や大切な人への理解が広がっていくはずです。まずはご自身のホロスコープで、どの天体がどんなディグニティにあるか確認してみてくださいね。星の居心地から見えてくる、あなたらしい輝き方がきっとあります。