先月、窓から秋の光が優しく差し込むセッションルームで、ひとりの女性がこんなふうに話してくれました。
「浅海さん、不思議なんです。彼女といると、なぜかすごく安心するんです。性格も考え方も全然違うのに。一緒にいると、自分が自分でいられる気がして...」
彼女の目は少し潤んでいて、でもどこか温かい光を宿していました。その時、私はふと手元のホロスコープに目を落としました。
彼女の月星座は蟹座。そして、その「安心する相手」の月星座は山羊座でした。
ああ、そうか。
私の胸に、静かな気づきが広がりました。水と地。対極にあるけれど、だからこそ満たし合える。補完し合う関係。
月星座のエレメントには、「補完関係」と呼ばれる特別なつながりがあります。火と風、地と水。正反対のようでいて、実は互いに必要としている関係。この組み合わせの相手といると、なぜか心が落ち着く。自分にない部分を、相手が自然に補ってくれる感覚。
今日は、その「安心する相手」の秘密について、お話ししたいと思います。
なぜあの人といると安心するのか。どうして一緒にいると心が満たされるのか。その答えは、もしかしたら月星座のエレメントが教えてくれるかもしれません。そして、その関係をもっと豊かに育てていくヒントも、星は静かに示してくれています。
あなたの周りにも、そんな「安心する相手」はいますか?
月星座のエレメント〜感情の母国語
占星術を学び始めたころ、私が一番驚いたのは月星座の存在でした。
多くの方が知っている「私は牡羊座です」という星座は、実は太陽星座のこと。これは意識的な自分、社会に見せる顔、目標に向かって進む自分を表しています。
でも、月星座は違うんです。
月星座は、あなたが一人になったとき、心を許した相手の前にいるとき、ふと涙があふれそうになるとき。そんな「素の感情」が現れる場所。私はよく「感情の母国語」と呼んでいます。
同じ日本語を話していても、関西弁と東北弁では響きが違うように。月星座のエレメントによって、感情の表現方法、安心する形、心の休め方が全然違ってくるんです。
火のエレメント(牡羊座・獅子座・射手座の月)
焚き火を思い浮かべてみてください。ぱちぱちと音を立てて、明るく、勢いよく燃える炎。
火の月を持つ人は、感情も熱く、素直に表現します。嬉しいときは飛び跳ねるように喜び、悲しいときは激しく泣く。感情にブレーキをかけるのが苦手で、心に火がつくと一気に燃え上がります。でも、その分冷めるのも早い。まるで子どものように純粋で、エネルギッシュな感情表現が特徴です。
地のエレメント(牡牛座・乙女座・山羊座の月)
大地を思い描いてください。どっしりと安定していて、確かな重みがある。
地の月を持つ人は、感情も現実的で堅実です。派手に感情を表に出すことは少なく、じっくりと自分の中で噛み砕いてから言葉にする。五感を通して安心を感じるタイプで、美味しいご飯、心地よい手触り、穏やかな日常のリズムに心が落ち着きます。時間をかけて信頼を育てていく、そんな感情の形。
風のエレメント(双子座・天秤座・水瓶座の月)
空を吹き抜ける風を想像してみてください。軽やかで、自由で、とらえどころがない。
風の月を持つ人は、感情を「考える」のが得意です。悲しいことがあっても、「なぜ悲しいんだろう」と分析したり、誰かに話すことで気持ちを整理したり。感情と距離を取って客観的に見る力があります。重たい感情の中に長くいるのは苦手で、風通しの良い関係、知的な会話、新鮮な刺激に心が満たされます。
水のエレメント(蟹座・蠍座・魚座の月)
静かな湖、あるいは波打つ海を思ってみてください。深くて、揺らいでいて、底が見えない。
水の月を持つ人は、感情の世界が豊かで繊細です。相手の気持ちを敏感に感じ取り、言葉にならない雰囲気を読み取る力があります。でも、その分傷つきやすく、感情の波に飲み込まれることも。心の奥深くで物事を感じていて、表面的な付き合いよりも、魂が触れ合うような深いつながりを求めます。
私自身、月が蟹座にあるので、水の感受性はよく分かります。誰かの悲しみが自分の悲しみのように胸に響いたり、言葉にならない「何か」を感じ取って涙が出そうになったり。そんな自分を長い間「弱い」と思っていました。
でも、占星術と出会って気づいたんです。
これは弱さじゃない。水の月が持つ、特別な感受性なんだって。
あなたの月星座は、どのエレメントに属していますか?その感情の表現方法は、あなたにとっての「自然な形」。無理に変える必要はなくて、ただ理解して、大切にしてあげるだけでいいんです。
補完関係という不思議な安心感
さて、ここからが今日の本題です。
4つのエレメントの中で、「補完関係」と呼ばれる特別な組み合わせがあります。それが、火と風、地と水。
対極にあるからこそ、互いに満たし合える関係。
私が心理カウンセラーの勉強をしていたとき、ユングの心理学に出会いました。ユングは「影(シャドウ)」という概念を提唱しています。これは、自分の中にあるけれど、意識の外に追いやってしまった部分。「私にはこんな面はない」と否定した部分のことです。
興味深いのは、私たちは無意識のうちに、その「影」を他者に投影するということ。
たとえば、感情をストレートに表現するのが苦手な地の月の人は、火の月のように自由に感情を燃やす人に惹かれたりします。自分にはできないけれど、心のどこかで憧れている。羨ましく思う。でも同時に、少し恐れてもいる。
その「自分にない部分」を自然に持っている相手といると、なぜか心が落ち着くんです。
自分だけでは完結しない。でも、相手と一緒にいれば、何かが満たされる。欠けていたピースがはまる感覚。それが補完関係の不思議な安心感です。
火と風は、どちらも「動き」を求めます。火は行動として、風は思考として。一見似ているようで、火は熱く感情的、風は冷静で論理的。火は「感じたまま動く」、風は「考えてから動く」。この違いが、互いを引き立て合います。
火の人は風の人といると、自分の熱い感情が言葉になっていくのを感じます。風の人は火の人といると、頭の中のアイデアが行動に変わっていくのを見る。互いが互いのエンジンになる、軽やかで活動的な関係です。
地と水は、どちらも「深さ」を持ちます。地は現実として、水は感情として。地は形あるものを大切にし、水は形のない心を大切にする。地は「今ここ」にどっしりと根を下ろし、水は「見えない何か」に心を開く。この対比が、互いを支え合います。
地の人は水の人といると、自分の現実的な世界に温かさや潤いが流れ込むのを感じます。水の人は地の人といると、揺れ動く感情に確かな形が与えられるのを感じる。互いが互いの器になる、静かで安定した関係です。
導入部でお話しした、あのクライアントの女性。蟹座の月を持つ彼女と、山羊座の月を持つ友人の関係は、まさに地と水の補完でした。
「私、すぐに感情的になっちゃうんです。でも彼女は冷静で、現実的で。私が泣きながら話しても、彼女は『大丈夫、一緒に考えよう』って言ってくれる。彼女といると、自分の感情が暴走しない気がして...」
彼女の言葉を聞きながら、私は思いました。これは「欠けている」んじゃない。お互いが持ち寄っているんだって。
水の感受性と、地の安定性。どちらも大切で、どちらも美しい。二人が一緒にいることで、それぞれが自分だけでは持てない視点を手に入れる。それが補完し合うということなんです。
あなたの周りにも、きっといるはずです。「この人といると、なぜか落ち着く」「一緒にいると、自分が満たされる気がする」。そんな相手。
その人の月星座を調べてみてください。もしかしたら、あなたの月星座と補完関係にあるかもしれません。

火と風の補完〜情熱と知性が響き合う
火と風。この二つのエレメントは、自然の中でも特別な関係にあります。
風が吹けば、火は大きく燃え上がる。火が燃えれば、その熱で風が生まれる。
月星座でも同じことが起こります。火の月と風の月が出会うと、そこには軽やかで、活動的で、何か新しいことが生まれそうな空気が流れるんです。
火の月(牡羊座・獅子座・射手座)を持つ人は、感情がそのまま行動になります。嬉しければ飛び跳ねる。悲しければ泣く。腹が立てば怒る。心に嘘がつけない、純粋でエネルギッシュな人たち。
一方、風の月(双子座・天秤座・水瓶座)を持つ人は、感情を「言葉」や「思考」に変えるのが得意です。自分の気持ちを客観的に見つめたり、誰かと話すことで整理したり。感情を風に乗せて、遠くまで届ける力を持っています。
この二つが出会うと、何が起こるのでしょうか。
火の月が風の月に与えるもの
風の月の人は、頭の中にたくさんのアイデアや考えを持っています。でも、時々そこから動けなくなることがあります。「これもいいけど、あれも面白い」「でも本当にこれでいいのかな」。考えすぎて、足が止まってしまう。
そんな時、火の月の人が隣にいると、風は動き始めます。
「それ、面白そう!やってみようよ!」
火の月の人は、深く考える前に動きます。その勢いが、風の月の人の背中を押してくれる。「考えるより、まず動いてみよう」という火の姿勢が、風に勇気を与えるんです。
そして、火の存在は風に「熱さ」を与えます。風の月の人は、時に冷静すぎて、感情から離れてしまうことがあります。でも火の月の人の、あの純粋な喜びや悲しみ、怒りや情熱を目の当たりにすると、「ああ、こんなふうに感じていいんだ」と思える。
感情は恥ずかしいものじゃない。隠すものでもない。ただ、そこにあるもの。
火の月の人は、そのことを全身で教えてくれます。
風の月が火の月に与えるもの
火の月の人は、感情が爆発的です。一気に燃え上がって、激しく輝いて、でも時に暴走してしまうこともあります。後から「あんなに怒らなくてもよかったな」「言いすぎちゃったかも」と後悔することも。
そんな時、風の月の人が隣にいると、火は落ち着きます。
「ねえ、何があったの?話してみて」
風の月の人は、火の感情を受け止めながら、冷静に言葉にしてくれます。「つまり、あなたはこう感じたんだね」「それは、こういうことが悲しかったからかな」。火の熱を、風が優しく言葉に変えてくれる。
すると、火の月の人は気づきます。自分が本当に感じていたことが何だったのか。ただ怒っていたわけじゃない。その奥に、悲しみや寂しさがあったことに。
風の月の人は、火に「視点」を与えてくれます。火は自分の感情に夢中になりすぎて、周りが見えなくなることがあります。でも風は少し離れた場所から、客観的に状況を見る。「あの人は、こう考えているかもしれないよ」「こんな見方もあるよ」。
その視点が、火の世界を広げてくれるんです。
お互いが持っていないものを、自然に差し出し合う。それが火と風の美しさです。
もちろん、すれ違うこともあります。火の人からすれば「もっと感情的になってよ!」と思うし、風の人からすれば「もっと冷静になってよ!」と思う。でも、その違いこそが、互いを成長させる種なんですね。
火の人は風から、感情を整理する力を学びます。風の人は火から、心のままに生きる勇気を学びます。
そして二人でいると、何か新しいことが始まる予感がする。火の行動力と、風のアイデア。この組み合わせは、世界を変える力を持っています。

地と水の補完〜安定と感受性が調和する
地と水。この組み合わせは、火と風とはまた違った静けさを持っています。
地に水を注げば、そこに命が芽吹きます。水は地に支えられて、形を持つことができます。
地の月(牡牛座・乙女座・山羊座)を持つ人は、現実をしっかりと見つめます。足元を確かめながら、一歩ずつ進んでいく。目に見えるもの、手で触れられるもの、確かな実感を大切にします。感情も、ゆっくりと時間をかけて育てていくタイプ。派手さはないけれど、どっしりとした安定感があります。
水の月(蟹座・蠍座・魚座)を持つ人は、目に見えない世界に心を開いています。相手の気持ち、空気の変化、言葉にならない「何か」を感じ取る。感情の波は深く、繊細で、時に自分でもコントロールできないほど揺れ動きます。
私自身、月が蟹座にあるので、この水の揺らぎはよく分かります。
誰かの悲しみが自分の悲しみのように胸に響いたり、映画のワンシーンで涙があふれたり。感情の境界線が曖昧で、時には自分の感情なのか、他者の感情なのか分からなくなることもありました。
そんな私が、地の月を持つ友人と過ごす時間は、不思議なほど落ち着くんです。
地の月が水の月に与えるもの
水の月の人は、感情の海に溺れそうになることがあります。悲しみの波が押し寄せてくると、もうそこから抜け出せない気がしてしまう。自分がどこにいるのか、どこに向かっているのか、分からなくなる。
そんな時、地の月の人が隣にいると、水は安心します。
「大丈夫、一緒にいるよ」
地の月の人は、揺れ動く水をそっと受け止めてくれます。動揺せず、慌てず、ただそこにいてくれる。その存在そのものが、確かな地面のように感じられるんです。
そして、地の月の人は水に「形」を与えてくれます。
水の月の人は、感じたことを感じたまま抱えて、どうしていいか分からなくなることがあります。でも地の月の人は、その感情を現実的な形に変えてくれる。「じゃあ、まず何ができる?」「今日は美味しいものでも食べに行こうか」。
感情を、行動に。目に見えない不安を、目に見える一歩に。
地の月の人は、水に「今ここ」を教えてくれます。過去の傷や未来の不安に心を奪われがちな水の月の人にとって、地の月の人の「今日、この瞬間を大切に生きる」姿勢は、心の拠り所になります。
私も何度も助けられてきました。感情の波に飲まれそうな時、地の月を持つ友人が淹れてくれた温かいお茶の味。「とりあえず、今日はゆっくり休もう」という、その何気ない一言。それだけで、心が地面に戻ってこられる感じがしたんです。
水の月が地の月に与えるもの
地の月の人は、現実的で堅実です。でも時に、その堅実さが自分を縛ることがあります。「こうあるべき」「これが正しい」。そう思いすぎて、心が硬くなってしまう。感情を表に出すことに抵抗があったり、弱さを見せることを恐れたり。
そんな時、水の月の人が隣にいると、地は柔らかくなります。
「そんなに頑張らなくていいんだよ」
水の月の人は、地の月の人が押し込めている感情に気づきます。「本当は疲れているんじゃない?」「無理してない?」。言葉にしなくても、水は感じ取るんです。
そして、水の月の人は地に「潤い」を与えてくれます。
地だけでは、乾いてしまいます。カチカチに固まって、何も生まれない。でも水が注がれれば、そこに命が芽吹き始める。感情が流れ始める。心が、呼吸を始める。
水の月の人は、地の月の人に「感じること」の美しさを教えてくれます。目に見えるものだけが全てじゃない。数字や結果だけが価値じゃない。心の奥にある、名前のつけられない感情にも、ちゃんと意味がある。
地の月の人は、水から感受性を学びます。人の心の繊細さ、感情の深さ、見えないものを大切にする感覚。それが、地の世界に豊かさをもたらすんです。
もちろん、地と水にもすれ違いはあります。水の人からすれば「もっと感情を分かってよ!」と思うし、地の人からすれば「もっと現実を見てよ!」と思う。
でも、その違いが二人を育てます。
水の人は地から、感情を地に足のついた形にする力を学びます。地の人は水から、心の声に耳を傾ける優しさを学びます。
そして二人でいると、世界が調和します。現実と感情。見えるものと見えないもの。その両方があって、初めて人生は豊かになる。
地と水の補完関係は、そのことを静かに教えてくれています。
補完し合う日々の中で〜関係を育てる小さな工夫
補完関係は、自然に生まれる安心感を持っています。でも、だからといって何もしなくていい、というわけではないんですね。
違うからこそ満たし合える。でも、違うからこそすれ違うこともある。
これまでのセッションで、多くの方から「補完関係の相手なのに、どうしてこんなにすれ違うんでしょう」という声を聞いてきました。火と風が噛み合わなくなったり、地と水がお互いを傷つけ合ったり。
でも、それは関係が終わるサインじゃなくて、関係が深まる入り口なんです。
補完関係を育てるのに必要なのは、特別なことじゃありません。ほんの小さな、日々の工夫。相手のエレメントを理解しようとする気持ち。そして、違いを楽しむ心の余裕。
今日は、私がクライアントさんにお伝えしてきた、そんな小さな実践法をいくつかご紹介します。
相手のエレメントを理解する対話
補完関係で一番大切なのは、「相手の感情の言葉が、自分と違う」ということを知ることです。
火の月の人が「好き!」と叫ぶように表現するのと、地の月の人が静かに「大切に思ってる」と伝えるのは、同じ愛情でも形が違う。どちらが正しいとか、どちらが深いとか、そういう話じゃないんです。
先日、あるカップルのセッションがありました。彼は射手座の月(火)、彼女は乙女座の月(地)。
「彼はいつも熱烈に愛を伝えてくるけど、私にはそんなふうにできない。私の愛情は冷たいんでしょうか」
彼女の目には、少し涙が浮かんでいました。でも私は、彼女のホロスコープを見ながら言いました。
「違うんです。あなたの愛情は、毎日作るお弁当に入ってる。彼の好きなものを覚えて、丁寧に作ること。それが、あなたの愛の形なんです」
彼は隣で、はっとした顔をしました。「そうか...僕、そのことに気づいてなかった」
相手のエレメントを理解するための問いかけ
「どんな時に、安心する?」
「どんなふうに愛情を伝えたい?そして、どんなふうに伝えられたい?」
「辛い時、そばにいてほしい?それとも、一人にしてほしい?」
火の月の人は、一緒に感情を発散したい。
風の月の人は、話を聞いてほしい。
地の月の人は、そっと隣にいてほしい。
水の月の人は、何も言わずに抱きしめてほしい。
全部、違うんです。でも、どれも本当の愛情の形。
相手のエレメントの「安心の形」を知ること。それが、補完関係を育てる第一歩です。
月のリズムと感情の波に寄り添う
占星術を学んでいると、月のリズムの影響をすごく感じるようになります。
新月から満月へ。満月から新月へ。月は14日かけて満ちて、14日かけて欠けていきます。そして私たちの感情も、その波に乗っているんです。
特に水の月を持つ人は、この波を敏感に感じます。満月に近づくと感情が高まって、新月に近づくと内側に沈んでいく。私も月が蟹座にあるので、満月の日は感情が溢れやすくて、新月の日は静かに内省したくなります。
でも、地の月を持つ人は、この波をあまり感じません。だから、水の月のパートナーが満月の日に急に涙を流したりすると、「何があったの?」と驚いてしまう。
**月のリズムを意識した関係のケア**
もし、あなたが補完関係の相手と深く関わっているなら、月のリズムを少しだけ意識してみてください。
満月の前後(満月の3日前から3日後くらい)は、感情が高まりやすい時期です。特に水の月の人は、いつもより繊細になっています。地の月のパートナーは、「今は満月だから、いつもより感情的になってるんだな」と理解してあげてください。
新月の前後は、内側に沈みたくなる時期です。風の月の人でも、いつもより静かになります。火の月のパートナーは、「今は一人の時間が必要なんだな」と尊重してあげてください。
月のカレンダーを一緒に見るのも、いいかもしれません。「次の満月は○日だね」「そろそろ新月だね」。そんな会話が、相手の感情の波を理解する手助けになります。
違いを楽しむ心の余裕
最後に、一番大切なことをお伝えします。
補完関係を本当に豊かにするのは、「違いを楽しむ心の余裕」なんです。
私たちは無意識に、相手を自分と同じにしようとしてしまいます。「もっとこうしてほしい」「なんでそんなふうに感じるの」。でも、それは相手のエレメントを否定することになってしまう。
火の月の人に「もっと冷静になって」と言い続けたら、火は消えてしまいます。
水の月の人に「そんなに感じすぎないで」と言い続けたら、水は枯れてしまいます。
相手を変えようとするんじゃなくて、その違いを面白がる。
「私にはない視点だな」
「そんなふうに感じるんだ、すごいな」
「この人がいるから、私の世界が広がる」
そんなふうに思えたら、補完関係はもっともっと深まります。
お互いが持っていないものを持ち寄って、一緒に豊かな世界を作る。それが補完し合うということ。
完璧な人なんていません。でも、二人で一つになる必要もないんです。
火は火のまま。風は風のまま。地は地のまま。水は水のまま。
そのまま、隣にいる。
それだけで、何かが満たされる。それが補完関係の美しさだと、私は思うんです。
補完関係が育てる、かけがえのない絆
補完関係は、時間とともに深まっていきます。
最初は「なんとなく一緒にいると落ち着く」という感覚だったものが、やがて「この人がいてくれてよかった」という感謝に変わり、そしていつしか「この人がいるから、私は私でいられる」という確信になっていく。
補完関係の本当の美しさは、この長い時間の中で育まれるものだと、私は思っています。
何年も前、私のセッションを受けてくださったある女性のことを、今でもよく思い出します。
彼女は魚座の月を持つ、とても繊細な方でした。芸術家で、感性が豊かで、でも自分の感受性に苦しんでもいました。「私は弱すぎる」「もっと強くならなきゃ」。そう言って、涙を流していました。
そんな彼女のパートナーは、牡牛座の月を持つ、どっしりとした地の人でした。
初めてセッションに来た時、彼女はこう言ったんです。
「彼は、私の感情を分かってくれない。私が泣いていても、ただ黙って隣にいるだけで。何も言ってくれないんです」
でも、ホロスコープを見た時、私には分かりました。これは補完関係。水と地。彼は、彼なりの形で、彼女を支えている。
それから数年後、彼女から手紙が届きました。
「浅海さん、あの時のセッションで気づいたんです。彼は私を理解していなかったんじゃない。彼なりの方法で、支えてくれていたんだって。
私が感情の波に飲み込まれそうな時、彼はただ隣にいてくれました。動じず、慌てず、ただそこにいてくれた。それが彼の愛情の形だったんですね。
そして私も気づきました。私の感受性は、彼に何かを与えていたんだって。彼は私といると、『感じること』を思い出すって言ってくれました。仕事ばかりで忘れていた、心の柔らかさを。
今は、お互いの違いが宝物です。彼がいるから、私は安心して感じられる。私がいるから、彼は心を開ける。
私たちは、お互いを完成させているんだと思います」
手紙を読みながら、私は涙が出そうになりました。
そう、これが補完関係の奇跡なんです。
お互いが持っていないものを批判し合うんじゃなくて、持ち寄り合う。足りないものを責め合うんじゃなくて、満たし合う。そうやって、二人で一つの豊かな世界を作っていく。
補完関係の中で、人は成長します。
火の月の人は、風から冷静さを学び、衝動的だった自分に視点が加わります。
風の月の人は、火から勇気を学び、頭の中だけだった世界が行動に変わります。
地の月の人は、水から感受性を学び、現実だけだった世界に温かさが流れ込みます。
水の月の人は、地から安定を学び、揺れ動く感情に確かな地面が生まれます。
そして、相手がいることで気づくんです。「これが、私らしさなんだ」って。
火の熱さも、風の軽やかさも、地の安定も、水の深さも。どれも美しくて、どれも必要で、どれも誰かの心を満たす力を持っている。
一人では見えなかった自分の輝きが、補完関係の中で見えてくる。
「私はこのままでいいんだ」
「私にしかない色があるんだ」
そう思えた時、人は本当に自由になれるんじゃないかって、私は思います。
補完関係は、学び合う旅です。相手から何かを奪うんじゃなくて、相手と一緒に何かを作っていく旅。
その旅の中で、あなたは自分を知り、相手を知り、そして人生の豊かさを知っていく。
もしあなたの隣に、補完関係の相手がいるなら。
その人は、星からあなたに贈られた、特別なギフトかもしれません。
違うからこそ、満たし合える。
欠けているからこそ、補い合える。
一人では見えなかったものが、二人なら見える。
それが、補完関係の持つ、かけがえのない絆なんです。
まとめ
窓辺のセッションから、数ヶ月が経ちました。
あの時、「なぜあの人といると安心するんでしょうか」と涙を浮かべていた彼女から、先日メッセージが届いたんです。
「浅海さん、最近気づいたことがあって。
私が感情的になりすぎた時、彼女が冷静でいてくれることに、感謝できるようになりました。以前は『私の気持ちを分かってくれない』って思ってたけど、違ったんですね。
彼女は彼女の形で、私を支えてくれていた。私の感情を受け止めて、形にしてくれていた。
そして私も、彼女に何かを与えていたんだって、初めて分かりました。彼女、最近『あなたといると、心が温かくなる』って言ってくれたんです。
私たち、補完し合ってたんですね」
メッセージを読みながら、私は窓の外の空を見上げました。秋の光が、部屋に優しく差し込んでいました。
ああ、よかった。
二人は、お互いの違いの中に宝物を見つけたんだ。
あなたの周りにも、きっといるはずです。
一緒にいると、なぜか落ち着く人。
言葉にならない安心を感じる人。
自分が自分でいられる気がする人。
その人の月星座を、一度調べてみてください。もしかしたら、あなたの月星座と補完関係にあるかもしれません。
火と風、地と水。
対極にあるからこそ、満たし合える。違うからこそ、学び合える。一人では見えなかったものが、二人なら見えてくる。
それは、星があなたに贈ってくれた、特別なギフトです。
完璧な人なんていません。欠けている部分があるのが、人間です。でも、その欠けている部分があるから、誰かと補完し合えるんですね。
あなたの月星座も、誰かの月星座も、どちらも美しい。
火は火のまま、風は風のまま、地は地のまま、水は水のまま。そのままで、隣にいられたら。
それだけで、何かが満たされる。
もし今、補完関係の相手とすれ違っているなら。
もし、相手の違いに戸惑っているなら。
その違いを、少しだけ面白がってみてください。「この人は、私にない世界を見ているんだな」って。
そうやって、お互いの違いを持ち寄り合えたら。二人の間に、もっと豊かな世界が広がっていくと思います。
星は、いつもあなたを見守っています。
あなたが一人で頑張りすぎないように。あなたが誰かと支え合えるように。そっと、補完し合える相手を、あなたの人生に配置してくれているのかもしれません。
その贈り物に、気づけますように。