月についての理解を深めようと本を開いたはずだったのに、気づけば、土星のページで手を止めていた。
思っていたよりもずっと、静かに存在感を放つ天体だった。
これまで私は土星を、恐れや苦手意識、試練の象徴として捉えていた。
避けたくなるもの。けれど、向き合えばやがては力に変わるもの。
そんなイメージだった。
けれど読み進めるうちに、それだけではないのだと知った。
土星は、「社会的な達成イメージ」を示すという。
子供が思い描く「将来の夢」のように、人はみんな、どこかに到達目標の輪郭を持ちながら生きている。
もしその像がはっきりしていなければ、人は社会の常識を借りて、それを自分の到達点の代わりとしておく。
その一説を読んだ時、とても腑に落ちた。
松村潔先生は、土星を「父の目」と表現している。
最終的な達成イメージを持たない人は、父から独立できない人だ、と。
ここでいう父とは、実在の人物というよりも、社会の常識を使って自分の中に作り出した、「こうあるべき」という物差しのことだろうと思う。
占星術を学び始めた頃、私は天体をどこか象徴的に捉えていたと思う。
土星は、厳しさ、試練、苦手意識の象徴。
けれど本質的には、人生の節目に訪れては、「あなたはどこへ向かうのか」と現実的に問いかけてくる、人を、ひとつ上の段階へ引き上げていこうとする天体なのかもしれない。
怖い天体ではない。ただ、曖昧なままではいさせてくれないような、一種誠実さという引力を持った天体と言えるかもしれない。
だからこそ、もう少し時間をかけて噛み砕いていきたい。そして、この土星の誠実さを、自分の言葉で手渡せるようになれたらと思う。