天動説(アリストテレスとプトレマイオス)の宇宙観
アリストテレスやプトレマイオスの時代、宇宙の中心には地球がある、と考えられていました。
また、当時、地球が球形であることは観測等により分かっていました。アリストテレスが考えたのは、地球を中心にして、(地球に近い順と周期の短い順の組み合わせで)月・水星・金星・太陽・火星・木星・土星・恒星/星座が回っている、という宇宙観です。
この「恒星/星座」の外側に、天上界がある、と考えられていました。
そして、月より上(水星~恒星/星座)の世界を「月上界」、月より下(地球(地下風水のエーテル))の世界を「月下界」としました。
月上界:永久不変の世界、第五元素(エーテル)に満たされている
月下界:不完全な世界、万物が流転する天の意志が、各天体を通し、地上に変化をもたらす
この宇宙観をもとにして、古代の占星術では、
「天上界(神々)の意志が、各天体を通して、月下界の四元素(エレメント)に働きかけ、地上に変化をもたらす」
と考えられました。
つまり、(上の図の)地球に最も遠い星から順番に天の意志が降りてくる、と考えたのです。
降りてくる過程で、各天体がそれぞれのエレメント(四元素)に作用して地上に伝わるため、古代ではエレメントとの相性が重視されたのです。
余談
①アリストテレスの宇宙像に、プトレマイオスが「逆行」や「留」という現象を説明するため、各天体に小さな円運動を加えて、天体同士は重ならない距離にある、と考えました。
(上の図にある各天体の小さな丸)②アリストテレスは、物体(土のエレメント)には中心(地球)に還ろうとする働きがある、と考えました。
特に土のエレメントが多いほど重く、「本来の位置」(地球の中心)に還ろうとする速度が速い、という説を唱えました。ニュートンが発見した万有引力の法則を、アリストテレスはこのように解釈し、人々に長く信じられていました。③ガリレオ・ガリレイは、②の通説を覆すため、ピサの斜塔から、質量の異なる2つの物体を同時に落とす→同時に着地することを観測した、という話があります。
(今は、ピサの斜塔では行われていないと言われています)参照
書籍:「知のアトラス」 編・森 結 西南学院大学博物館
書籍:「古典占星術」 著・チャールズ・オバート 訳・河内邦利 総合法令出版Web:Wikipedia (天動説、宇宙論、万有引力、ガリレオによるピサの斜塔実験)