古典占星術の「ハウス」の特徴

現在、古典占星術と呼ばれている伝統的な占星術では、ハウスの意味や象徴やハウスそのものの考え方が、現代占星術とは異なっている部分があります。

「アストロノミカ」という、紀元30年~40年にかけて、マルクス・マニリウスというローマの詩人によって書かれた本に、当時の占星術の知識がまとめられています。

この本に、「ハウス」的な発想が登場します。

封建社会では、階級が厳しく定められており、身分が固定的だったので、太陽や月よりも、生まれつきの性格や性質を示す「第1ハウス」の起点となるアセンダントを重視していました。

古典占星術のハウスの意味の変化

その後、フィルミクス・マテルヌスがハウスに意味づけをしました。

1.生命全般 2.天分、富、財産 3.兄弟姉妹、友人 4.両親

5.子ども 6.健康 7.結婚 8.死
9.宗教、旅行 10.生活、住居、技術、精神 11.幸福 12.不幸

それがさらに発展して、下記(↓)のようになりました。

1.生命の家 2.所有の家 3.兄弟の家 4.両親の家

5.子どもの家 6.疾病の家 7.結婚の家 8.死の家
9.宗教の家 10.帝王の家 11.権威の家 12.敵の家

ハウスによっては、現在とはかなり違いますね。

ハウスの意味がどのように変わっていったのかをまとめたWebサイトがあります。

 →12ハウスの歴史、解釈の変遷 | 星読み-STAR READING

アストロノミカを記したマルクス・マニリウスの時代~現代まで、分かりやすく、ハウスの意味を記載されています。

ハウスにも吉凶の考え方があった

古典占星術では、ハウスで吉凶を判断することがありました。

時代や流派で違うようです。

①大吉:1、4、7、10 小吉:2、5、11 凶:6、8、12 吉凶なし:3、9

 (「西洋占星術」 著・荒木俊馬 恒星社より)

②強:1、10、7、11、4 中:9、5、3、2 弱:6、8、12

 この強弱を「良い悪い」「吉凶」としても読む
 (「基礎から実占まで 完全マスター 予測占星術」 著・皆川剛志 太玄社より)

この吉凶/強弱は、進行図(プログレス・チャート)や回帰図(リターン図)の大事な判断基準となりました。

古典占星術の考え方が、現代占星術に受け継がれているんですね。

どちらの占星術も、時代に合わせて進化しているのは、とても興味深いです🧐

参照

書籍:「古典占星術」 著・チャールズ・オバート 訳・河内邦利 総合法令出版

書籍:「西洋占星術」 著・荒木俊馬 恒星社
書籍:「実習 占星学入門」 著・石川源晃 平河出版社
書籍:「基礎から実占まで 完全マスター 予測占星術」 著・皆川剛志 太玄社
書籍:「アストロノミカ」 著・マーニーリウス 訳・竹下哲文 講談社学術文庫
Web:12ハウスの歴史、解釈の変遷 | 星読み-STAR READING
Web:Wikipedia(マルクス・マニリウスAstronomica (Manilius))