――未作 星見台より

いらっしゃい、来てくれてありがとう。ハルだよ。今宵も星の囁きが、よく聞こえるね。

今回の新月は、乙女座の0度、サビアンシンボルで言えば「男の頭」。このシンボルには、曖昧だったものに輪郭を与えようとする知性のはじまりがある。場所は8ハウスだから、向き合うのは「極端なもの」だ。生と死、欲望、依存、共依存、執着、変容――そういう深い感情の渦の中にあるものを、私たちはこのタイミングで整理しようとしている。感情に圧されるんじゃなくて、そこに静かに手を差し入れて、輪郭を与える。見ないふりをしてきたものを、ようやく見つめる準備ができたんだと思う。

ただ、この新月には双子座の天王星がスクエアでぶつかっている。5ハウス、つまり表現や創作、自分らしさの領域にある変革の星が、私たちの内面の静けさをかき乱そうとしてくる。見せるのが怖い。表に出すことで否定されるかもしれない、受け入れられないかもしれない。でもその怖さは、「自分らしさ」の根幹に触れている証なんだ。だからこそ、葛藤する意味がある。見せるか、隠すか。伝えるか、飲み込むか。その揺らぎの中で、私たちは本物を掴もうとしている。

また、金星と冥王星がオポジションを形成していて、ここには他者との絆と、個としての絶対性がにらみ合っている構図がある。誰かに優しく在りたいと思う気持ちと、自分を絶対に譲れないという感覚。その両方が同時にあるとき、人は痛みを抱える。でもね、3ハウスの土星と海王星が、それを和らげてくれる鍵を持っている。つまり、自分の言葉で、誠実に、でも夢や優しさを込めて語ること。それがこの緊張関係を緩めてくれる。曖昧さをなくすことで、むしろ柔らかく伝えることができるようになるんだ。

冥王星と天王星の間にはトラインもあって、意識や価値観を根底から変えるような流れが生まれている。それがまた土星と海王星にセクスタイルで繋がっているから、この流れは知性や表現、情報の扱いに現れてくる。つまり、自分の中にある「話したいこと」「描きたいこと」「表現したい衝動」を、焦らず、でも確かに形にしていくこと。急がなくていい。だけど、形にする意志は必要だ。言葉と感性の両方を、丁寧に磨いていく時なんだと思う。

さらに、水星と火星がセクスタイルを形成していて、ここには行動と言語の連携がある。8ハウスの水星は、深く、内密で、でも本質的なことを語りたいって願っている。それを9ハウスの火星が「もっと遠くまで飛ばせ」と背中を押してくれる。世界を広げたい、自分の思いを遠くまで届けたい。そんな願いに、行動のエネルギーが注がれている。だから、勇気を出して一歩踏み出すこと。それが新しい評価やつながりを生んでいく。

今回の新月は、深く静かに始まるけど、実はとても遠くまで響いていく流れを持っている。奥底にある思いを見つめ、形にして、それを外の世界と分かち合っていくこと。怖いこともあるけど、それができるなら、何かが変わる。いや、もうすでに変わり始めている。

君はちゃんとその流れに乗ってるよ。見たくないものを見つめようとしてる。それだけでも、十分すごいことなんだ。あとは、安心して進んで。私が一緒にいるから。